Web3が日本でも本格的に話題になりつつあります。自民党がNFTによる出席表明を試したり、NFTスニーカーを購買し、歩いて遊ぶSTEPNが話題になったりしています。現在の日本では仮想通貨取引、NFT売買、Play to Earnなど、直接儲かる、投機的な要素のあるサービスが先行しています。世界ではそれだけではなく、Web3.0のコンセプトである「ユーザー個人に力を与える」動きが進みつつあります。今回は、いくつかの分野において最新のサービスをご紹介いたします。
1. Webブラウザ
Webブラウザは現在、Google Chromeが日本・世界とも圧倒的なシェアを持っています。GoogleはWebブラウザを使うユーザーの検索履歴を使い、自社の広告ビジネスに利用しています。収益はユーザーには還元されません。これはEUで個人情報保護規制が制定された理由の一つであり、個人の情報が金になることをGoogleだけが享受している批判されている理由の一つです。それに対抗して開発されたWeb3.0ブラウザであるBraveやSwashは、ユーザーが広告閲覧の可否を自ら選択でき、更に広告を閲覧する際にはブロックチェーンにより正確に記録され、広告閲覧数に応じて仮想通貨が支払われるため、ユーザー個人に利益が還元するメリットがあります。
2. オンラインストレージ
昨今は大企業でもオンラインストレージサービスであるDropbox、Box、Google Drive、Microsoft OneDriveを利用しています。ユーザーは企業とライセンス契約をして、サービス提供企業のクラウドストレージの容量の一部を利用します。利用しているファイルやシステムの安全性はDropboxなどのサービス提供企業が保証します。それに対してIPFS、StorjなどのWeb3.0ストレージサービスは、保管するデータをブロックチェーンに書き込むことにより、データの改ざん・品質を保証しています。
3. ソーシャルネットワーク
FacebookやTwitter、Instagramに代表されるソーシャルネットワークは、ユーザーの投稿したコンテンツの権利はサービス提供企業側が保有します。それに対してSteemitやAkashaのようなWeb3.0ソーシャルネットワークサービスは、投稿されたコンテンツはブロックチェーンに記録され、ユーザー側の権利として残ります。良質なコンテンツは売買できるようになることを目指しています。
以下、EISの考察です
- 上記紹介したWeb3.0サービスは基本、ブロックチェーンを基盤としてユーザーに価値を提供しようとしている。まだまだ一般ユーザーに対してこなれたサービスになっていないものも多い。ただしこれは、インターネット黎明期であったような、何でもかんでもインターネットに掲載するサービスが多数発生し、その後生き残った勝者が市場を席巻したときと同様の傾向にみえる
- インターネット黎明期とは異なり、これらのWeb3.0サービスは単独で成立しておらず、仮想通貨などの多くのサービスとの連携により開発・提供されている。すなわち、サービス開発・提供労力が低くなっているため、今後もより多くのサービスが発生し、どんどん発展して行くものと思われる
- 今はまだニッチなサービスだが、一度ホットになると一気に浸透する可能性がある。そこで利用者目線としては、少しでも気になるサービスは試してみて、Web3.0とはなにかを体感することを推奨する。合う合わない含め、自分にとっての距離感を把握することが重要である。例えば筆者もTwitter(2006年サービス開始)は2007年にインストールしたが、本格的に使い始めたのは数年経った後である