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敢えて酒を飲まないライフスタイル「ソーバー・キュリアス」が今後も続くワケ

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アルコール飲料に脳を活性化させる成分を配合したソーシャルトニックやアルコールフリーのウィスキーなど、世界中でアルコールの代替品を目にする機会が増えています。このような製品市場が盛り上がっていることは明らかですが、実際にこれらの飲料を購入しているのは一体誰で、その理由は何なのでしょうか。

「ソーバー・キュリアス」と呼ばれる、お酒は飲めるけど敢えて飲まない選択をするZ世代以外は、多くの消費者がノンアルブームがここまで浸透し始めたことを不思議に感じているようです。 

週に一度、カクテルの材料をアルコールフリーのものに置き換えたり、アルコールを完全に断つことも「ソーバー・キュリアス」なライフスタイルとしてカテゴライズされます。より多くの消費者がアルコールから距離を置く中で、ブランドはこのムーブメントがなぜここまで流行っているのか、そしてそれが最終的に他の産業にどう影響するかを知ることが重要でしょう。

アルコール代替品の台頭

サンディエゴ州立大学の最近の調査によると、アルコールを飲まない若者の割合は、ミレニアル世代からZ世代にかけて32%増加しています。ミレニアル世代はお酒の代わりに水やソーダなどを飲むしかありませんでしたが、Z世代は昔に比べて刺激的で新しいノンアルコール代替品の選択肢が広がりました。

そのひとつが、Kin Euphoricsの炭酸飲料「KinSpritz」です。Kin Spritzは、プレミアムな向精神薬成分が配合されており、無駄なカロリーを摂ったり二日酔いの心配をすることなく社交の場で飲むことができます。

一方、Ritual Zero Proof のアルコールフリースピリッツは、ウイスキー、ウォッカ、ジン、テキーラなどの人気のあるアルコールの味を再現していますが、もちろんドリンクを飲んでも酔うことはありません。

こういったノンアルコールスピリッツは、従来のカクテルと同じ風味を頭痛や二日酔いといった副作用なく楽しみたい人達にピッタリでしょう。NielsenIQによると、このような製品によってノーアルコール飲料のサブカテゴリーは2021 年に33%以上成長しました。アルコール飲料カテゴリーの成長率がわずか2.2%であることを考えると、いかにこの市場が急拡大しているかが分かります。

Ritual Zero Proofのテキーラ代替品で作った、ノンアルコールマルガリータ / photo credit: Beverage Dynamics

ノンアルコール飲料が身近な存在に

現在出回っている代替品によって市場は盛り上がりをみせていますが、より多くの伝統アルコールメーカーがこの分野に参入すれば、ノンアルコールのクオリティはさらに改善されると専門家は考えています。

その好例が、ハイネケンが製造したアルコールゼロのビール「Heineken 0.0」です。日本でもノンアルビールは人気ですが、こちらもハイネケンのビールの味はそのまま、アルコールゼロを実現しています。このコンセプトを証明するために、ハイネケンは2021年に従来のアルコール製品をすべて合わせたのと同じくらいの資金をこの「Heineken 0.0」プロモーションに充てました。

アメリカでは従来のアルコールと比べると、このような代替品はこれまで店頭で見つけるのが簡単ではありませんでした。現在では、BoissonNYCのようなノンアルコール飲料の専門店も都市部で見られるようになりました。Boissonはニューヨークを中心に既に5店舗を展開し、店頭でお客さんは専門家と相談しながら、自分に合ったノンアルコール飲料を見つけることができます。

Boisson West Village店の様子

Z世代の飲酒量は他の世代に比べて少ない

多くのブランドがこの分野に参入し、Boissonのような店舗が見られるようになった今、実際に誰がなぜノンアル飲料を購入しているのかを知っておくことは重要です。購入者の一部は、「お酒を飲まなければ社会に適合できない」という社会的プレッシャーを感じている人々で構成されています。

実際、スターリング大学の研究によると、85%の人がお酒を飲まなければならないという社会的圧力を感じたことがあり、このプレッシャーが飲酒をするか否か決める上で最も影響力のある要因になっていることが分かっています。

多くの世代はこの研究結果に納得するかもしれませんが、Z世代は必ずしもそうではありません。実際、毎週お酒を飲む人は、ミレニアル世代で28%、ベビーブーマー世代で36%なのに対し、Z世代では15%にとどまっています。

このようにお酒を敢えて飲まないソーバー・キュリアスが増えているため、業界はお酒を飲まなくても社会馴染めるような代替品を提供する必要があります。現代の消費者は、他人を喜ばせるために飲むのではなく、アルコール飲料と見分けがつかないような代替品で、自分自身に重きを置いて社交の場を楽しむようになってきています。

欧米では年始になると、Dry Januaryと呼ばれる断酒月間を実践する人も多い

また、Z世代が健康志向の製品を積極的に購入していることも、この分野の盛り上がりの重要な要因となっています。女優・ヘルスインフルエンサーでもあるグウィネス・パルトローは、アルコール摂取量を減らすことで、数え切れないほどのヘルス・ベネフィットが得られ、気分も改善されたそうです。

カロリーの高さ、二日酔い、中毒性など、アルコールが健康に及ぼす影響は周知の通りです。たとえ早い時間に会議があっても、厳しいダイエット中であっても、あるいは妊娠中であっても、人々は炭酸飲料の代わりに毎晩のカクテルや友人との一杯をノンアルコール飲料で嗜むというライフスタイルをキープしています。実際、ノンアルコール飲料はスポーツ界にも浸透しており、Erdingerは世界各地で開催される350以上のスポーツイベントのスポンサーを務めるアクティブツアーを開始しています。

Erdinger主催のマラソンイベント / photo credit: Erdinger

カスタマー・エンパワーメントの時代

アルコールはこれまで場を盛り上げたり楽しむために必要だと考えられていましたが、Z世代はアルコールが必ずしも自身のライフスタイルに必要でないことに気づき、他の世代もそれに追随しつつあります。

情報通で好奇心旺盛なこの新しい時代の消費者は、古い伝統に懐疑的になり、リサーチに基づいて自分自身の意見を形成し始めています。これによって将来的にはアルコールだけでなく、多くの産業のあり方にも影響を与えることになるでしょう。そのため、このトレンドは顧客エンパワーメント時代の大きな節目と見ることができます。情報が広く行き渡ったことで、顧客はこれまで以上にリサーチを行うことができるようになり、従来の概念に疑問を持ち、自ら意思決定を行うことができるようになりつつあるのです。

「ソーバー・キュリアス」に関するEISの考察

  • 様々な情報やリサーチを通じて、顧客はこれまでの固定観念を覆したり既存概念の真価を問うカスタマー・エンパワーメントの時代が到来している
  • ノンアルコール飲料のトレンドの動きは国の規制や文化の違いなどによっても変化しうるが、酒に限らないソーシャル・ドリンクの浸透によって今後酒屋はもちろん、レストランやバーの在り方も大きく見直されるだろう
  • 酒やタバコなどの嗜好品は身体に必ずしも良いプロダクトばかりではないが、その商品を通じて得られる交流や体験に重きを置く人も多い。今後は健康にもベネフィットのあるプレミアム嗜好品が人々の生活に浸透する可能性がある
  • 飲酒に限らず、社会的な圧力によって消費者がもどかしさを感じているサービス・業界は他にもたくさんある。自由な発想やZ世代の意見やペインポイントを反映させることで、これまで開拓できていなかった層へのリーチができる可能性は大いにある

参考文献

  1. Goop
  2. Flux Trend
  3. University of Stirling
  4. Ripples

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