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Z世代の価値観に合わせた企業運営の重要性

近年、Z世代が世界の舞台で活躍するようになり、その影響は、職場、小売、テクノロジー、政治、文化に急速に波及しています。ミレニアル世代やそれ以前の世代とは根本的に異なるこの世代は、キャリアや人生と仕事における成功の定義について、独自の視点を持っています。

目次

Z世代とは

すでに世界で最も人口の多い世代であるZ世代(一般的に1996年から2011年の間に生まれた世代と定義)は、現在の米国人口の20%以上を占めています。このグループは現在、11歳から26歳までのプレティーン、ティーンエイジャー、ヤングアダルトが中心で、史上最も人種的、民族的、性的な多様性のある世代です。Z世代は、米国の人口がどのように変化しているかを示す先行指標であるだけでなく、職場、学校、そして彼らが関わるブランドにおいて、多様性の代表者でもあるのです。この世代は不確実性とデジタルメディアへの絶え間ないアクセスとともに成長しており、人種的平等や気候変動などの社会的問題に対して関心が高いです。またストレスレベルが非常に高く、将来に対する楽観度が最も低いという報告もあります。

Z世代の主な特徴

  • 多様性が彼らの規範
  • 真のデジタルネイティブ
  • 現実的で金銭感覚に優れている
  • メンタルヘルスの問題を引き起こす要因が多い
  • 抜け目のない消費者
  • 政治的に進歩的な傾向がある
ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公正性)、インクルージョン(包含性)を考慮した経営は現代ビジネスに欠かせない

Z世代にインパクトを与えた出来事

米国では、Z世代は「9.11を知らない世代」と呼ばれることがあります。2001年にニューヨークとワシントンDCでテロが起きたとき、Z世代の最年長者はまだ幼児だったためです。この世代にとって、最初の大きな出来事は、2008年に始まった大不況と経済危機でした。彼らは上の世代が苦労しているのを見て、不況の余波の中で何らかの仕事に就けることを幸運だと感じていました。

そして、2020年に発生した世界的なパンデミックにより、世界中が混乱に陥りました。Z世代の多くにとって、社会的な交流が絶たれた2年間は、突然バーチャルになった学習環境に適応することと、プロム、卒業式、スポーツイベント、大学での体験、会社での初仕事など、青春を彩るイベントに参加できないことを意味しました。一方、逆説的ですが、このような若者の中にはパンデミックの期間中、人前で働くサービス業の仕事に就いていた人も多くいました。彼らは食料品店、レストラン、ショッピングセンターなどの最前線で、地域のマスク規制を実施する仕事を任され、身の危険を冒していたのです。

Z世代は、COVID-19パンデミックの物理的な影響(感染による重篤な疾病)を受けにくい一方で、パンデミックによる精神的ストレスや悲しみ、高い失業率、遠隔学習や中断による教育上の課題など、ライフステージによる独特の負担を負っています。パンデミックの影響を特に受けるのは、大学を卒業したばかりの学生で、その多くが就職難に見舞われたり、確保した内定が取り消されたり、2020年3月のロックダウンのタイミングで大学院への出願ができなくなったりしました。2020年4月、18歳から24歳の労働者の失業率は27%に達し、このセグメントの13%が卒業後の職探しを中止しました。現在、米国の雇用はほぼ回復していますが、この層はパンデミック開始以来、他の世代の2倍の確率で職を失っています。

しかし、2008年の不況と2020年のパンデミックがもたらした不安とトラウマの中で、Z世代は個人の心身の健康を最も優先させ、その問題について直接的かつ率直にコミュニケーションをとることを学びました。医療は高すぎる、あるいは効果がないと感じている彼らは、かわりに友人や、TikTokやRedditを通じて知り合った匿名の仲間に自分の苦悩に対処するためのアドバイスを求めます。

また、 Z世代の間では社会的公正と環境問題への意識が高まっています。彼らは、司法制度からウォール街、企業行動まで、問題をシステム的、制度的に捉えており、それらが論理的に的を射ているかどうかシンプルに考える傾向があります。

ノースカロライナ州シャーロットにて、ジョージ・フロイド氏死亡事件をきっかけに開催されたBlack Lives Matterのデモには、Z世代からも多くの参加者が講義に参列した(2020年)

Z世代とその上の世代との物事に対する価値観の対比は、業界の問題点を浮き彫りにします。ニューヨークのある小売企業では、精神的不安や生理痛に対処するために有給休暇を希望する若い従業員に管理職が苦悩していました。あるサプリメント会社では、Z世代の社員が「午後までにやることを終わらせたいのに、なぜ1日8時間労働なのか」と疑問を投げかけました。また、各業界において、若い世代の社員は、経営陣がSlack上で自分の代名詞(She/HerやHe/Him)を表示したり、Black Lives Matterの抗議活動を支持する声明を出すなど、企業にこれまでの中立的な立場から、よりオープンな価値観への転換を求めるようになってきています。

このようなZ世代の行動はさまざまな年代が集うチームに大きな亀裂を生じさせています。総論として、年配の管理職はZ世代が自身の健康を守り、仕事と生活を分けたいと思う本能を理解しているようですが、その欲求がストレートに投げかけられることに困惑している人もいます。彼らは、職場のヒエラルキーに関係なく自身の考えを真っ直ぐにぶつけてくることに慣れていないのです。特にZ世代はさまざまな組織の構成員の中で最年少であるにもかかわらず、その場で最も声が大きいことが多いのです。

とある食品会社の社長は、若い従業員から「うちの会社もBlack Lives Matter運動に連帯して黒塗りの画像をインスタグラムに投稿しないか」という提案を受けました。マタニティケアのスタートアップ企業のCEOは、2021年3月にアトランタのスパで銃撃事件が起きた後、最も若い社員の一人から、「アジア系アメリカ人と連帯して自社として何かできないか」というSlackメッセージを受け取りました。これらの発言は、多くの企業経営者にとっては、オフィス内外の人種的不平等について企業がほとんど沈黙していた数十年間を是正するために歓迎されるべきものだと考えています。しかし、従業員からの政治的関与の要求と、自分たちのブランドにとってどう立居振る舞うのが適切かという感覚とのバランスをとるのに苦労している経営者もいます。

以下、EISの考察です 

  • 企業のリーダーは、若い社員を自社に迎え入れる際に、上に挙げたようなZ世代の価値観に留意が必要。Z世代を惹きつけるためには、雇用主は外部環境に見合った進化のスピードが求められる。すなわち管理職に対する多様性に焦点を当てたトレーニングやリーダーシップ・プログラムを開発すべきである
  • 例えZ世代の価値観が自身のこれまでの価値観と相違あるとしても、消費者としてのZ世代を無視してビジネスを展開することはできないほど彼らの消費におけるインパクトは大きい。その観点においても彼らの価値観を理解し、企業としてどう向き合うかを考えることは経営者にとって重要な課題と言える

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