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米国各州で立て続けに始まるビッグテック規制

欧米では、米国、英国、フランス、欧州連合など国家レベルで、Amazon、Apple、Facebook、Google等、いわゆる「ビッグテック」への規制導入・強化が議論されていることは、過去のEIS Insightでも取り上げました。今回取り上げるのは、そうした動きが米国の州レベルで活発化しているという話です。

2021年2月米国中西部のノースダコタ州で、AppleやGoogleが中小企業の経営を圧迫しているとして、それらのアップストアの使用料(課金の30%)を免除できるようにする法案が提出されました。こちらはアップストアに対する州レベルでの初めての規制の試みとして、全米で注目を浴びたのです。

結果的にこちらの法案は11-36の反対多数で否決されましたが、他州の立法者である州議員やビッグテックに反対するロビイストたち、そして何よりもそうした政治家やロビイストの活動を支援するアプリ開発者やスタートアップに大きな影響を与えていると報じられています。早速、お隣のミネソタ州では全く同様の法案が議会に提出され、アリゾナ州、ジョージア州、マサチューセッツ州及びウィスコンシン州でも同様の動きがあります。


ビッグテックに対する規制強化の試みは、様々な角度から検討が始められています。ニューヨーク州ではビッグテックへの独禁法適用を容易にする法案が、フロリダ州ではFacebook等のソーシャルメディア運営会社がサイト内投稿コンテンツの監視権限を制限する法案が、メリーランド州、コネチカット州、インディアナ州ではFacebook、GoogleやAmazon等が運営・販売するオンライン広告への課税法案を導入又は検討していると伝えられています。

以下、EISの考察です。

  • 欧米におけるビッグテックへの国家・州による規制強化の動きは不可逆的な流れになっている(バイデン政権・民主党はその動きに拍車をかけこそはすれ、縮小させる方向性にはない)
  • ビッグテックは欧米社会同様、日本国内でも市場影響力を持ちつつあるのに、国内では同様の議論が話題にすら上がっていないのは、日本の立法府・行政府のグローバルな時代感覚の欠如を示している
  • 引いて言えば、こうした規制や世論が新たなイノベーションやサービス、ビジネスモデルを生み出すきっかけにもなる。しかし残念ながら、日本はここでも周回遅れになる可能性が高い
  • 欧米社会では公正な市場環境・競争のあり方、税負担のあり方、そして中小企業=イノベーションを牽引するスタートアップが活動しやすい環境のあり方への議論を、有識者や国・州レベルの立法者が真剣に考え、メディアも報道し、社会として解決策を見いだそうとしていることを理解すべきである

参考記事

  1. The New York Times
  2. KFYR
  3. StarTribune
  4. Photo: The New York Times

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