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ポストコロナの都市開発が本格的に動き出したシカゴ市

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アメリカでは昨年夏の経済再開から1年以上が経ち、日々の生活面ではコロナ以前と変わらぬ不自由ない環境がすっかり戻っていますが、コロナで定着したニューノーマルがそのまま定着していることも数多く存在します。そして、それらが引き金となり、アメリカの都市部ではポストコロナの都市開発が本格的に動き出しています。

目次

コロナで何がニューノーマルとして定着したのか

コロナで定着したニューノーマルとして真っ先に挙げられるのが働き方の変化です。経済再開直後こそReturn to Office(オフィスに戻ろう)という言葉が踊り、オフィスに戻る必然性がある企業以外にもAppleやGoogleなどで従業員をオフィスに戻そうという動きが見られましたが、結果は散々なものとなり、今では週2~3日をオフィスで過ごし残りは在宅勤務とするハイブリッドワークが多くの企業でデファクト化しました。これはクワイエット・クイッティングなどの別の問題も引き起こしていますが、一方で人手不足による人材獲得競争激化により、ハイブリッドワーク(ないしはフルリモート)を認めることは当たり前のこととなっています。

もう一つの大きなニューノーマルがEコマースの浸透でした。アメリカのEコマース市場は今年初めて1兆ドルを突破する見通しで、今後についても年12%程度の安定した成長が見込まれ、数年のうちには小売売上高の2割を占める見通しです。

アメリカEコマース市場の推移(eMarketer参照の上、EIS作成)

また、昨今は翌日配送可能地域が広がっており、人々の生活にEコマースが浸透していくにつれ、物量の増加、配送納期の短縮が進んできています。

一方で、コロナ禍での変化から揺り戻しが起きていることもあります。例えば住宅について見てみると、コロナ直後は郊外への人の流出が顕著でしたが、経済再開以降は交通の便の良さや刺激のある生活を求めて都心部へ回帰する動きが見られます

動き出したシカゴ市の都市開発

上記の変化は各自治体の都市開発に大きな影響を与えていますが、その変化がもっともダイナミックに起きている都市の一つがシカゴです。270万人の人口を抱えるアメリカ第3の都市では今、今後の都市のあり方を占う様々なニュースが駆け巡っています。

昨年末、保険大手のAll Stateはパンデミックによる在宅勤務の常態化に伴い、シカゴ郊外の本社社屋を売却しました。購入したデベロッパーは跡地をラストマイルデリバリー用倉庫(300万平方フィート)として再開発する予定です。その他にもシカゴ近郊でフルフィルメントセンター開発の動きはいくつか見られ、今年6月には小売最大手のWalmartが最新鋭のフルフィルメントセンターの運営を開始したり、翌7月には小売大手のTargetが2023年中にシカゴに2つのマイクロフルフィルメントセンターを竣工すると発表したりしています。

また、先月末、シカゴ市は市中心部のラサール・ストリート活性化のために老朽化したオフィスビルを住宅に転用する意思のあるデベロッパー向けの補助金を発表しました。ラサール・ストリートは市庁舎などが立ち並ぶシカゴビジネスの中心地でしたが、ビルの老朽化もあってかコロナ後のオフィス空室率が目立ったため、今回の住宅転用推進につながりました。同様の動きはニューヨークやロサンゼルスなど他の大都市でも起きています。

以下、EISの考察です

  • 都心部に住居が増えることで、生活に必要なインフラの整備も進む。特に古いビジネス街は食料品店などのライフラインが不足している地域も多いため、今後それらの整備が進むだろう。ただし、Eコマースの浸透も進んでいることから、従来の小売店という形ではなく、ダークストアと呼ばれる配送拠点のみを持つオンライン専用スーパーなどの新業態が広がる可能性が高い
  • 市の中心部での再開発はスマートシティ的な取り組みを取り入れる恰好の機会でもある。上記オンラインスーパーやEコマースの拡大に伴う無人配送車の導入拡大など、これまで試験的に導入されていた技術の本格展開につながる可能性も。なお、シカゴ市はアメリカの中でもスマートシティ化を積極的に推進する都市の一つであり、この点で特に注目したい

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