AIアートが急速な盛り上がりを見せています。ユーザーは数単語の文章を入力することにより、それに応じてAIが画像を作るサービスです。
例えば、「Mt. Fuji, cherry blossom」という単語をStable Diffusionのデモサイトで入力すると、以下のようなイメージがAIによって作られました。
また、同じ単語を使ってDALL·E 2を試してみると、以下のような画像が作られました。
上記の例にもあるように画像のクオリティが非常に高く、美術作品公募でAIアートが優勝する事態も発生しています。一般の方でも簡単に試すことができるサービスは、上記Stable Diffusionのデモサイトの他にMidjourneyとDALL·E 2があります。MidjourneyはDiscordのアカウントがあれば利用でき、DALL·E 2はWaitlistに申込をして、承認を受ければWebサイトにログインして利用できます。
それぞれのサービスの違いは、DALL·E 2はアート寄り、Stable Diffusionは現実の写真寄り、Midjourneyはアニメなどのイラスト寄りとなっています。
今年になって一気に拡がった理由は、様々なサービスが一気に発表されたことです。2022年3月に米国AIユニコーン企業であるOpenAIがDALL·E 2を発表して一般人でも利用できるようになったことから話題になり、追随して5月にGoogleがImagenを発表、6月に米国のAIスタートアップMidjourneyがMidjourneyを公開、8月に英国AIスタートアップStability.AiがStable Diffusionを発表し、利用者が一気に増えました。日本でも7月末からMidjourneyを利用するユーザーの発信により一気に話題に上り、更にStable Diffusionの発表により盛り上がりを見せています。
投資活動も活発で、DALL·E 2を開発したOpenAIは$1B(約1,400億円)を調達しており、Stable DiffusionをリリースしたStability.Aiは$1B(約1,400億円)の評価額で資金調達を目論んでいます。
以下、EISの考察です
- 今までクリエイターに頼むしかなったアート・デザインを文字だけで誰でも作れるようになる破壊的技術である
- これは、コンピュータープログラミングの世界で起こったことと類似しており、以前は大学や企業で長い間専門トレーニングを受けないとできなかったプログラミングが、ノーコード・ローコードツールが拡がることにより垣根が拡がり、今ではWeb担当者、デザイナー、事務担当者等多くの人が何らかのプログラミングが行われていることと通じるものがある
- そのため、本技術の出現によりアート・デザイン業界が拡大し、デジタルアートを職業にする人が増えていくことが想定される。更に近い将来、音声、動画のサービスも出現するものと思われるため、業界拡大・変化が加速していく
- 現在の課題は著作権の問題である。AIモデルを生成するためのインプットとなる大量の画像は合法的に収集されたものなのか、AIが生成した画像がインプット画像とほぼ同じ場合の著作権はどうなるのか、等の課題を解決していく必要がある