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パリにある和の複合ブティック「Ogata」から学ぶ、日本の本質を世界に発信するということ

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今回訪れたお店は、「オガタ・パリ(Ogata Paris)」。日本でSimplicityという会社を運営し、日本が誇る伝統的な手法や感性を基に現代の生活に合わせたものづくりを行い、世界へ向けた上質で豊かな暮らしをプロデュースされてきた緒方慎一郎さんが、パリにオープンしたお店です。

EIS撮影

世界に向けたブランド「Ogata」を通じて、エルメスのような日本発の高級ブランドを目指しているというのが背景です。パリのお店は、17世紀に建てられた800平米の歴史的建造物を改築し、お茶や和菓子、器のブティック、茶房、バー、レストラン、ギャラリーなどを取り揃えた贅沢な和の複合施設。パリ3区に突如現れる、シックで洗練された日本の空間は、凛とした雰囲気に包まれ、隅々にわたって美との調和が見られます。

緒方さんがOgataをなす5つの柱と考えるのは、茶を喫すること、料理を味わうこと、ものづくりを継承すること、もてなすこと、そしてさまざまなつながりによって文化を創造すること。それらが見事に体現されている「オガタ・パリ」という空間を、是非ご紹介させてください。

目次

日本のクラフト、そして日本流の暮らしを素敵に再現するショーケース

入口には手水舎があり、店内に入る前に柄杓で水を洗います。まるで日本の神社に足を踏み入れたかのように、日本ならではの神聖な儀式をパリで体感できるとは思ってもいませんでした。水の滴る音まで、和の風情が感じられます。

EIS撮影

建物の一階に足を踏み入れると、まずはティーブティックへ。ほうじ茶、玉露、抹茶、煎茶など様々な茶葉が並んでいて、桐の棚に収納されています。茶の専門家が常駐しているので、自分好みのお茶を見つけられます。

EIS撮影
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その少し奥には和菓子店があり、象徴的な「ひと口果子」がショーケースに飾られています。柔らかい餡をひと口サイズのボール状にしたその和菓子は、胡桃のロースト、抹茶餡とレーズンを使った「萌葱」、生姜餡と蜂蜜羹を使った「鳥の子」など珍しい味が並んでいました。

EIS撮影
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隣の空間には、楡やクスノキの木から削り出した器などヴィンテージの品々が展示されていて、数々の美しいクラフトにふと目を奪われます。松栄堂さんとコラボレーションして開発されたお香も並べてあり、そのどこか懐かしい香りはふと日本を思い出させます。その日はちょうど貸切で入れなかったものの、地下には自分のオリジナルのお香を作れる、贅沢なお香のサロンがあるとのことです。

EIS撮影
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ブティックを抜けて、天井が吹き抜けた中央のスペースに出ると、奥にギャラリーが広がっています。レセプションの右手の階段を上がればレストラン、そして下がればSABO(茶房)・SHUBO(酒坊)に繋がる階段があり、階段の薄暗さは神秘的な雰囲気をも感じます。

特に私が足を運んだのは夜だったので、地下がSHUBOに姿を変えた時でした。薄明かりの照明が幻想的な空間を織りなし、カウンターにはウイスキーが整列されていました。同じ空間で、昼間は茶房としてお茶や和菓子をいただくことができ、夜は酒のあてと共にウイスキーなどをしっぽりと嗜めるとのことです。色々見学させていただいた後に、2階のレストランに案内して頂きました。

素材の味を、五感を研ぎ澄ませて味わう

レストランに足を踏み入れると、カウンターと調和したデザインや照明が施されたオープンキッチンが目の前にあり、料理人の方が調理する様子もまた、日本の技を披露するショーケースのようでした。どの店員さんも、統一された制服に身を包み、心地の良いおもてなしをしてくださいました。

夜のメニューは一つ、ディナーコースを頂きました。コース1品目は、そら豆を素材の味そのままで。2品目は、牛肉のしゃぶしゃぶ、柑橘、野菜のサラダ。3品目は、帆立のつみれのお椀。4品目は、昆布〆の鯛とマグロの刺身。5品目は、蛸の柔らか煮、季節の野菜とジュレを添えて。春の季節を感じられる品々で、どれも一つ一つの素材の美味しさが引き立っていて、大変美味しかったです。

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メインは、肉・魚・野菜から選べたので、ベジタリアン向けのメニューもしっかり用意されている模様。私はお魚が大好きなので、メインはお魚を選び、鰆の味醂漬けと春野菜の天ぷらを頂きました。

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そして最後の〆は、あさりの釜飯。デザートは、抹茶のブランマンジェや葛餅といった和菓子もオプションにありましたが、シグネチャーデザートであるOgataの美しいショートケーキを。

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実は昨年夏に2022 Miss SAKEコンテストでグランプリを受賞し、日本代表として活動していることもあったので、お酒はもちろん日本酒を選びました。店員の方が一つ一つ丁寧に説明してくださり、お酒ごとに酒器を変えてくださるその細かな心遣いに、さらにお酒が美味しく感じられました。酒器もそうですが、やはり食器一つ一つの美しさが際立っていることも特徴の一つ。Ogataらしさ溢れるその空間に没入し、まさに五感で食事を味わうことができ、素晴らしいひとときを過ごすことができました。

EIS撮影

日本の本質のエッセンスを、パリのOGATAで、そして日本で

さて、少し話は変わりますが、パリでは結構前から日本食の人気が高く、日本食レストランも至る所にあり、特にオペラ座周辺ではラーメン屋に行列ができるほどの人気ぶりです。もちろんそれも日本にとって嬉しいことで、多くのフランス人に日本に旅行に行って本場の味を食べてみたいと思ってもらえるきっかけになっていると思います。

ただ、私自身最近インバウンド事業に携わり始めましたが、日本はもっと高付加価値旅行に目を向けるべきと考えています。調査によると、日本は世界の高付加価値旅行者をほとんど獲得できていないと言われており、観光で世界的に人気なはずの日本は高付加価値旅行に関しては他の先進国に遅れているようです。

そもそも高付加価値旅行とは、単純に高額消費をする旅行ではなく、旅行を通じて異文化を体験し、自分の価値を高めたり人生の資産になるような経験を求める旅行のことです。そしてそれは、訪問先の環境の改善や、社会・文化の発展にも寄与し、経済的側面だけでない総合的な良い影響をもたらします。では、いかに高付加価値旅行を求める人に日本の魅力を感じてもらうのか。様々な方法があると思いますが、その一つの方法が、パリにあるOgataのようなお店の存在だと思うのです。

例えば、旅行エージェントが日本の美しい写真や動画を見せて説明するだけでは、きっと日本の魅力を伝えきれないと思います。海外の地、フランスのパリにて、日本の建築、工芸品、食、お酒、お香、アート・・・五感で日本の魅力を感じることができ、その先を深く知りたくなる、そんな空間になっています。Ogataに足を運び、その価値を感じてくれた人は、次はこの素晴らしい文化を持つ日本に足を運び、さらに深く日本文化のエッセンスを堪能したいと思ってくれるだろうと想像します。

このように、日本の美を追い求め、日本文化のエッセンスを洗練して表現している空間「オガタ・パリ」は、日本の文化的価値を発信してくれる重要な拠点になっているのだと思います。

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