突然ですが、皆さんは今世界でどれくらいの人々がNFTを保有しているか想像できますか?Finder社のNFT Adoption Indexによると現在の世界人口に対するNFT普及率は3%ですので、2.4億人ほどがNFTの保有者ということになります。ちなみにテクノロジー大国アメリカの普及率も世界平均と同じ3%ですので、同国のNFT保有者はたったの900万人です。日本も同様に3%弱と、認知度が上がってきたとはいえ実際の保有者・利用者となるとまだまだというのが正直なところです。では、今後NFTはどのようにして多くの人々に普及していくのでしょうか?言い換えると、どこを見ていればNFTが世の中に普及してきているかどうかを察知することができるのでしょうか?
ゲームはNFTの浸透度を測る絶好のベンチマーク
注目したいのはゲームです。ゲームといえばAxie InfinityやDecentraland、STEPENなど、NFTゲームはすでに人気となっており「なにを今さら」と思われるかもしれませんが、注目すべきはこれらのネイティブNFTゲームだけではありません。今や娯楽の筆頭格に上り詰めたゲーム業界全体でNFT導入が進んでいくことが、多くの人々にNFTが普及するもっとも早い近道なのです。
ゲームは特に若い世代に支持されている娯楽です。特にZ世代にとってゲームは、世代全体の24%が最も好きな娯楽にあげるほど人気であり、TV、音楽、インターネット、映画よりも支持率が高いのです。また別の調査によるとZ世代の8割以上がゲームをプレイしています。つまり、人気タイトルがNFTを採用していくことで、若い世代を中心に一気にNFTの普及が進むのです。
人気IPにNFT化の兆し
2022年下期に入り、人気IPの制作会社が次回作でWeb3.0を導入するというニュースが急増しています。例えば、韓国初の世界的ヒットゲームPUBG: BATTLEGROUNDS(累計販売数7,500万本、最大100人が同時接続可能なバトルロイヤルゲーム)の制作会社は今年9月、同社の新規プロジェクト「Artemis」をNFT、メタバースゲームにすることを明言しました。
また、2020年に発売した最新版が発売開始からわずか10日で100万本を販売した「Tony Hawk Pro Skater」を監修するスケートボード界のレジェンドTony Hawkは7月、Autographと共同でSandbox上にメタバースゲームを構築し Play-to-Earnを導入することを発表しました。極め付けは前作が1.7億本という桁違いの販売数を記録した超人気バトルゲームGrand Theft Autoの次回作「GTA6」で暗号資産の利用が検討されているとのリークです。同作ではプレイヤーは従来からドルなどの法定通貨でゲーム内通貨を購入していますが、このゲーム内通貨を売却し法定通貨を得ることはできません。しかし、もし暗号資産が採用されればPlay-to-Earnが実現する見通しです。GTAの件はあくまで噂の域を出ませんが、これが実現すれば1億人以上が同作を通じてNFTを所有することは確実です。
以下、EISの考察です
- Play-to-Earnは現在のNFT界隈でもっとも支持されているフォーマット。そして、既存のゲームタイトルが適用しやすいため、今後人気タイトルがNFTシフトしていく可能性が高い
- ゲームはすでにテレビやインターネットに並ぶ娯楽となっており、若い世代にとってはテレビやインターネットよりも人気。また、人気ゲームタイトルは国を超えてユーザーを獲得している。これらを踏まえると、ゲーム業界のNFTシフトが多くの人々へのNFTの普及を推し進めていくことは間違いない
- 今後、既存の人気タイトルのNFT導入状況および消費者からの指示のされ具合をウォッチすることで、NFT全体の普及速度を予測することが可能