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イーサリアム創業者が提唱する新NFT、ソウルバウンドトークンが個人情報管理革命を起こす

あらゆるものがインターネットにつながるデジタル化の時代において、個人情報は極めて価値が高く、ビジネスに不可欠なデータです。よく知られているように、Googleはユーザーの検索履歴を収集・分析し、広告主に提供することにより圧倒的な地位を築きました。Amazonはユーザーの購買動向を元に類似商品を推薦するレコメンデーション機能で大成功を収めています。

GAFA等の大手企業が個人情報を用いてビジネスを大きく拡大してきた反面、これらの企業の本社がある米国の利益に繋がることから、欧州は対抗措置を講じてきました。GDPRにより欧州域外企業の個人情報利用に厳格な制限を設けたり、情報利用に反した域外企業に厳しい課徴金を課すなど様々な措置をしています。更に欧州委員会を中心に、政府が管理する個人情報を民間でも利用できるeIDの整備も積極的に進めています。

上記がサービス提供者側の論理で行われている一方で、持ち主であるユーザー個人に焦点を当てて行われている活動もあります。それは、ユーザーが自らの個人情報の公開の範囲を決めて提供することが重要であり、企業は個人の承諾をもって借り物である個人情報を利用するべき、という意見です。先行するイギリスではmidata施策を実施しており、日本においても官民共同で情報銀行構想を立ち上げ、2018年より始まった認定制度により、認定事業者はユーザー個人からパーソナルデータを預託され、他の事業者に提供するサービスを実施しています。ただしこれらの取り組みは、利用しやすさ、サービスの数といった観点からあまり広まっておりません。

上記ご紹介したGAFA、欧州、日本の取り組みはすべて、GAFA、政府、サービス提供事業者等、サービス提供側が個人情報を集約・管理することが共通の前提となっています。それに対して、Web3のコンセプトである分散型・オープン化・透明性の特徴を生かしたアイデアが提出されました。それが、イーサリアムの創設者である天才プログラマーのヴィタリック・ブテリン氏らによって今年の5月に発表された論文 ”Decentralized Society:Finding Web3′ Soul” で、ソウルバウンドトークン(Soulbound token)、SBTと呼ばれるものです。

目次

ソウルバウンドトークンとは?その特徴

  • 1つのソウルバウンドトークンは、NFTの特徴であるユニークで改ざんされない点に加え、永続的で譲渡不可能な性質をもつ
  • ソウルバウンドトークンを保管するウォレット(財布)をSoulと呼ぶ
  • Soul内に保管したソウルバウンドトークンは、誰も盗難できない
  • Soulの所有者は、ソウルバウンドトークンの開示/非開示を設定できる

具体例な利用イメージ

  • ある個人がSoulを保有する
  • 大学がその個人の卒業証明SBTをSoulに対して発行する
  • 企業がその個人の所属証明SBTをSoulに対して発行する
  • 自治体がその個人の戸籍証明SBTをSoulに対して発行する
  • 銀行がその個人の保有資産の健全性を示すSBTをSoulに対して発行する
  • 不動産事業者がその個人の賃貸契約を証明するSBTをSoulに対して発行する

上記のように、Soulという財布に多くのソウルバウンドトークンがあり、このSBTの集合により個人の証明につながります。

以下、EISの考察です

  • ソウルバウンドトークン(SBT)は、個人の証明を事業者、自治体、政府、教育関係者といった多数の関係者による評価で実現すること、その実現がNFTを用いれば可能である点に革新性がある。これまでのような中央集権型のサービスではなく、分散型サービスであるので、コストが安くセキュリティの高い仕組みになり得るポテンシャルがある
  • 前提として、個人情報はそれ自体がよく使われているサービスとセットで力を持つ。GoogleのIDやFacebookのIDが有効なのも、多くの利用者がいるからIDを利用したい多くの事業者が上記IDを使ったサービスをどんどん開発することになる。そのため、まず仮想通貨/NFT業界内で、多くのユーザーが頻度高く利用されるサービスになることが普及への一歩となる。早速、大手仮想通貨取引事業者であるBinanceがソウルバウンドトークン発行をアナウンスしたこともあり、今後、仮想通貨/NFT界隈で多くの取り組みが出てくると思われる
  • ソウルバウンドトークンが真に成功するためには、仮想通貨/NFT業界にとどまらず、既存の業界である金融、不動産、不動産、教育、EC、政府といった、多くの業界に拡がるかにかかっている。遠い未来のように見えるかもしれないが、仮想通貨/NFT業界は活発で変化が激しい業界なので、あっという間に拡がる可能性も無視できない

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