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ドリームテック~夢の可能性に挑むイノベーション

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私たちは人生の1/4から1/3を睡眠しているにも関わらず、世の中の技術のほとんどは起きている時間のために作られています。多くの人々にとって夢は、無意識のうちに見たり見なかったりするもので、自分の意思でコントロールしたり何かの役に立てたりできるものではありません。

しかしながら、近年、夢をマーケティングに使おうという試みが出てきています。アメリカの大手ビール会社Molson Coorsは、今年のアメフト「スーパーボール」に合わせて「世界最大の夢の研究」というキャンペーンを実施しました。消費者に対して、ハーバード大学の心理学者を使ったイメージビデオを見てもらい、実際に夢に出てきたかどうかというアンケートに答える調査でした。もっとも、世界最大のビール会社Anheuser-Busch InBevに全米でのビール宣伝放映権を握られていることへの対抗策として、話題性を作ってテレビの外での宣伝広告を行おうとするキャンペーン色が強いかったものの、American Marketing Association NYの「未来のマーケティングの研究(2021)」によると、全米の企業に属する400人以上のマーケターの77%が、今後3年間にドリームテックの活用を目指しているという調査結果が出ているそうです。

image credit: Vimeo

実際には、夢の研究は新しいものではなく、70年代から80年代にかけて既に明晰夢(Lucid Dreaming)~自分が夢の中にいることを認識し、その中で起こることに影響を与えることができる夢~についての実証が行われていました。しかしながら、明晰夢の存在が明らかになっても、それをコントロールするためには様々な装置と被験者を通じたトライ&エラーが必要で、進展がありませんでした。そこに、近年の様々なウェアラブル機材の発展により、俄然、身近なものとなってきたのです。

以下は、明晰夢を引き起こしたり、明晰夢を解析するためのデバイスを提供するスタートアップの例です。

1. iBand+
https://www.ibandplus.com

夢の中に入り込み、夢をコントロールできるように設計された、全く新しい明晰夢用のスリープウェアラブル。iBand+アプリにはあらかじめオーディオが搭載されており、睡眠の統計情報や改善案を提供。

2. SOMNI MASK
https://somni.org

モーションセンサーでレム睡眠を追跡し、他の段階の睡眠を妨げることなく、視聴覚的な方法で明晰な夢を引き起こす仕組み。夢の中でマスクから送られてくる信号を見たり聞くことができる。自分が夢を見ていることに気づき、その後、明晰夢の状態に。

3. ZMax(HypnoDyne Corp)
https://hypnodynecorp.com/

研究機関に提供されている明晰夢解析用のデバイス&プラットフォーム。

さらに、MIT Media Labでは、Hypnagogia~覚醒と無意識の間の半明晰夢の状態~の夢を捉え、拡張し、影響を及ぼすことで、人間の創造力を高めようとするプロジェクト「Dormio」が実施されています。この半明晰夢の状態は、時間や空間に対する近くが歪んでおり、何らかの方向づけをする注意喚起や認知的なコントロールの制約を受けないため、創造的なアイディアの孵化や関連付けがなされやすいというのです。それを知ってたのか、トーマス・エジソンや二コラ・テスラ、エドガー・アラン・ポー、サルバドール・ダリなどの発明家や芸術家たちは、鉄球を持って仮眠することでその状態にアクセスし、鉄球が床に落ちたとき、その直前の半明晰夢の中で生まれた創造的なアイデアを取り込もうとしたと言われているそうです。

image credit: MIT media lab

Dormioの仕組みは、以下の通りです。まず、半明晰夢の状態を捕捉するために、より睡眠段階の推移を正確に捉えるべく手の動きや眼球の動き、筋緊張の低下、心拍数の変化、皮膚コンダクタンスの変化(皮膚を流れる電流の抵抗で皮膚の湿気が変化)などの生態データを収集します。そうした信号から、半明晰夢が終わろうとするタイミングで、ソーシャルロボットの音声が作動し、被験者を完全な覚醒でなく、ほんの少しだけ覚醒状態に戻します。このわずかな目覚めに、フォークやウサギなどの言葉を吹き込むと、それらの言葉が確実に夢の内容として入り込むことが分かったというのです。

image credit: MIT Media Lab

本プロジェクトは、半明晰状態に起こる、言わば「マイクロドリーム」を通じて、睡眠と感情コントロールや記憶、学習との関連性を調べることで、例えば、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を悪夢への対処という形で治療したり、創造性や記憶力を増進させる睡眠の活用法を探ろうとしているのです。一方で、同プロジェクトに携わる研究者たちは、前述のMolson Coorsが、意図的に夢を使ってアルコール飲料といった中毒性も有りうる商品を販促しようとする動きには警鐘を鳴らしています。

以下、EISの考察です。

Covid-19パンデミックで、世界の人々の生活は大きく変わりました。テレワークが推奨され、多くのイベントや社交の場が制限されて、日々の人間との出会いや交流関係が希薄化する中で、人々はマインドフルネスのような心身の平安やバランスを求め、関連サービスやアプリが大きく成長しています。一方で、適切な対処法を見つけることができずに、引きこもりやADHD、双極性障害、うつ病、統合失調症のような精神疾患が増えているとも伝えられています。また、英語圏で最大の掲示板型コミュニティサイトのRedditでは、明晰夢のコミュニティがあり、40万人以上もの人々が参加しており、悪夢から解放されたい、素敵な夢を見て人生を変えたい人々が、明晰夢の体験や効能、快眠や明晰夢を得るための知識やテクニックが活発に共有されています。

このようにドリームテックはまだまだ開発途上ですが、もし画期的なサービスが実現した場合には、その社会的インパクトや市場規模は果てしなく大きいと考えられ、グローバルにアンテナを張ろうとする企業やビジネスパーソンにとっては、注目・モニターしていくべき分野であると考えています。

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