弊社共同代表の方 健太郎がNewsPicksのプロピッカーに就任!独自の視点でコメントを日々投稿しています→ フォローする

トップアスリートも虜に 〜ウェアラブルデバイス WHOOP

8月最終週、ソフトバンクグループ傘下のビジョン・ファンド2が主導となり、ウェアラブルデバイスメーカーのWHOOPに2億ドル(約220億円)の投資を行ったとのニュースが入ってきました。この新たな資金調達により、WHOOPの評価額は36億ドル(約3960億円)にも上るとされています。

ウェアラブルデバイス界のスタートアップとしては最大級のWHOOPですが、何がここまで成長させたのかを見ていきたいと思います。

photo credit: WHOOP media kit

WHOOPは「Unlock Human Performance」を企業ミッションとして掲げており、睡眠、回復、負荷の3つを徹底的に管理することで、人間が持つ身体的ポテンシャルを最大限に引き出してくれます。

余分なものは捨てる、シンプル性

ウェアラブルデバイスと言えば、手首につけられた画面をタップして操作するイメージがありますが、WHOOPには画面そのものがなく、まるでブレスレットのような感覚で利用できます。電話や支払いの機能ももちろんありません。機能的にはできることが制限されているようですが、睡眠や運動の邪魔にならないので、まさに「Unlock Human Perfomarnce」を体現しています。

シンプルさの追求は製品開発の観点だけではなく、販売戦略にも及びます。デバイスのラインナップは1種類のみで、価格設定も完全サブスクリプション型です。本体価格の設定はなく、ユーザーは毎月30ドルを支払うことでデバイスを手に入れ、アプリ上で自身の健康管理を行うことができるのです。実際に、このビジネスモデルに切り替えた2018年以降、ユーザー数は増加しているようです。

アスリート級の健康管理

呼吸回数、安静時心拍数、心拍変動(心拍間のミリ秒単位の変動)などのデータを取得し、独自のアルゴリズムで回復と負荷レベルを測定しています。WHOOPのデータは非常に正確と言われており、通常時の呼吸回数よりも大幅に増加していることに気づいたユーザーが、コロナに感染しているかもしれないと検査に駆けつけ、実際に陽性だったというケースもある程です。さらに、取得したデータからのインサイトがリッチなのも、多くのユーザーを虜にする理由です。例えば、睡眠や運動のデータから就寝と起床時間を決めてくれる上に、回復レベルからどれくらいの負荷のトレーニングをすれば良いかも教えてくれるのです。

photo credit: WHOOP media kit

実際に、WHOOPはプロゴルフのPGAやアメフトのNFLのオフィシャルウェアラブルデバイスとして認定されており、水の怪物Michael Phelpsや東京オリンピックの陸上競技メダリストGabrielle Thomasなど名高い選手が利用しています。インスタグラムを覗いてみると、競合相手のFitbitは普段使いできることを重視しているのに比べ、WHOOPはアスリート色が非常に強いことがわかります。

コミュニティ面においてもその傾向は見られます。Fitbitはフィットネスの三日坊主を避けるために共に励まし合うなど、ソーシャルメディア要素が強いですが、WHOOPは自身のデータから得られるインサイトやフィットネスプログラムが共有されており、アスリート界により近いコミュニティと言えるでしょう。

instagramの投稿feedを見ても、ターゲットユーザーの違いは明確

以下、EISの考察です。

  • データドリブンかつパーソナライズされた健康管理は一般消費者の間でも普及されつつある
  • アスリート→ジムトレーナーやコーチ→健康意識が高い消費者、とシャンパンタワーのようにトップレベルから順に一般消費者レベルまで浸透させる戦略の成功例である
  • Apple WatchやFitbitはライフスタイルに焦点を当てている一方で、アスリートや健康意識が高い消費者にとってはWHOOPの”ブレスレット”をつけていること自体が一種のステータスとなっており、それに憧れるフィットネス初心者などターゲットの裾野を広げることになり得る
  • より機能性に特化したニッチなウェアラブルを様々な用途によって使い分けるユーザーの出現によって、今後ウェアラブル業界の競争はますます激化する

参考文献

  1. Financial Times
  2. WHOOP

最新記事を週1回メールでお届けします。
EIS Insightの無料メルマガに登録しませんか?

登 録

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてください!

気に入った記事をシェア!
  • URLをコピーしました!
目次