先日、米AmazonがBuy Now Pay Laterという後払い決済サービスを提供するAffirmとの提携を発表しました。今回の提携によってAmazonでは、消費者が50ドル以上の買い物をする際に後払いオプションが選べるようになります。また、2021年8月初旬には、米決済サービス大手であるSquareも、オーストラリア発の後払い決済サービスAfterpayを買収し話題になりました。
BNPLという略称で浸透し、クレジットカード不要で無利息の分割払いができるBuy Now Pay Laterは若年層を中心に欧米で人気を博しています。AmazonやSquareといったビックプレイヤーの参入によって、今後ますます需要が拡大していくことは間違いありません。EISでは、2020年7月に既にこのトレンドに注目しレポートを作成しており、この機会に急成長をし続けるBNPLについて我々の示唆・仮説を改めて共有したいと思います。
このインサイトについて、さらに詳しく動画で解説しています(17:12)
- withコロナ下で、誰でも無料で簡単に使える新しい決済手段“Buy Now Pay Later (BNPL)”が欧米豪で成長を見せる
→ BNPL企業はリテーラー側に手数料を課すことで、消費者に分割払いを無利子で提供(例:BNPL大手の豪Afterpayでは、無利子で2週間毎の4分割払いが可能)
→ Afterpayの株価は去年3月の最安値から773%増。また、全世界で1,120万人のアクティブユーザーを有する(2021年度第1四半期時点) - ユーザーの多くは若者層(Afterpay米国内利用者の40%はZ世代)である
以下、EISの考察です
- withコロナ時代でEC決済が加速する中、BNPLは効率的なEC決済手段としてクレジットカードの恩恵を経験していない若者層を引き付け、クレジットカードにディスラプションを起こした
- クレジットカードはブランドやカード発行主体、顧客獲得主体が分かれている場合が多いため、顧客獲得コストが高かったが、BNPL企業はブランドやカード発行主体をなくし、若者受けの良い代替サービスを武器にユーザーを獲得することで、顧客獲得コスト削減に成功
- BNPLを導入した多くの企業はコンバージョン率と買い物総額の増加にも成功しており、BNPLは特にZ世代やミレニアル世代をターゲットとする企業が欧米に進出するにあたって検討すべき新しいツールである
- なお金融規制の対象外であるBNPLは、与信リスクの高い層が利用可能なため、その採用に際しては徹底した財務状況の把握などリスク管理が重要
参考文献