EV用バッテリーの廃棄やリサイクルは、世界のOEMメーカーにとって大きな問題になりつつあります。アフリカではすでに、20年前から家庭用太陽光発電システムで電池を利用しており、大量の電池が取り換え時期を迎えています。Goglaのレポートによると、ケニアだけでも2020年には約400万個のソーラーランタンとホームシステムが廃棄されました。製品1つには、2~10セルが含まれています。今後、EVで利用されるセル数に比べると少ない数ではあるが、スタートアップ企業(Aceleron、Betteries、Hinkley technologiesなど)はイノベーティブなソリューションを開発し、将来の世界的な問題に応用しようとしています。
英国に本社を置き、ケニアのナイロビで事業を展開しているAceleronは、既存セルのリサイクルを容易にするだけでなく、システムの保守・点検を可能にすることでバッテリーパックの寿命を20年以上に延ばせる独自のプラットフォームを開発しました。
- パック内のセルは、接着やはんだではなく特許取得済みの圧縮技術によって束ねられている
- パック内のすべてのセル(ファーストもしくはセカンドライフ)を、機械学習に対応したソフトウェアが個別に監視して、必要に応じた交換によりパックの寿命を最大化できる
点検可能なシステムはバッテリーパックの寿命を延ばすだけでなく、ICE車の整備士に新たな仕事を提供します。そのため、Aceleronはポータブルバッテリーサービスセンターを開発し、「バットラボ」(コミックのスーパーヒーローとは無関係)と名付けました。少人数のチームは、2週間のトレーニングで現場に出る技術を身につけられます。
以下、EISの考察です。
- 2021年にケニアで試験的に開始される予定のこの「バットラボ」が近い将来、パリやロサンゼルス、東京の街角で修理工場やガソリンスタンドに代わり、見られるようになる日が来るかもしれない。
- 多数のEVが買い替えられると、テラワットの電池の管理・廃棄が必要になる。EUでは2030年までに50万台のEVが乗り換えられると予測される。(車両1台には、3,000~5,000個のセルが入ったパックを搭載)
- OEMやバッテリーメーカーは、環境問題の解決とディーラーや自動車整備業界への新たな仕事の創造のため、バッテリーパックのリサイクル、さらにはメンテナンスを可能にする技術を早急に取り入れるべきである。