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フランス発で世界に急速に広まる、商品評価アプリを深堀り

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このインサイトについて、さらに詳しく動画で解説しています(15:42)

フランスのスーパーやドラッグストアでは、顧客がスマホのカメラで商品のバーコードをスキャンしている様子が日常的に見られます。一体何のためのスキャンなのでしょうか。

photo credit: Yuka

彼らが使用しているのはYukaと呼ばれるアプリで、すでにフランスでは人口の約6分の1が利用していると言われています。2017年の誕生から順調に規模を広げ、現在はフランスを含む欧州9ヵ国に加えて、米国、カナダ、オーストラリアにも展開し、4年間で2100万人のユーザーに使用される人気アプリとなっています。


このアプリは、ユーザーがアプリ内のカメラで食品や化粧品のバーコードをスキャンするだけで、その商品の健康スコアや環境スコアを瞬時に確認できるというサービスを提供しています。さらに、健康スコアが低評価の商品に対しては、同様の商品でより栄養価の高い代替案が提示されるという仕組です。これらの分かり易い情報提供が手助けとなって、ユーザーはより栄養価が高くより環境に配慮した商品がどれなのかを簡単に知ることができ、自分の好みや値段等のその他判断基準を組み合わせて、より良い選択を行うことが出来ます。

photo credit: App store

少し細かい内容にはなりますがが、参考までにYukaのスコア付けの方法をご紹介します。

  • 健康スコアは100点満点表示。加えて栄養価、食品添加物、有機的側面の3つの指標に応じて
    「非常に良い・良い・普通・悪い」の4段階評価が表示される
  • 栄養価はEUの「Nutri-Score」を採用し、食品添加物の評価は欧州食品安全機関(EFSA)、
    フランス国立食品環境労働衛生安全庁(ANSES)、国際がん研究機関(IARC)など最新の科学的研究に準拠する
  • オーガニックの側面についてはEUで最も有名な有機認証・ユーロリーフの基準に従っているなど、
    3指標のいずれも客観的で、正確な情報を基にしている
  • 環境スコアは、「Eco-Score」と呼ばれるYukaアプリがフランスの食品関連のIT企業や市民団体と共に立ち上げた
    民間主導の環境影響指標で、原材料の生産や運搬で発生する二酸化炭素排出量、
    リサイクル可能なパッケージを使用しているか、パーム油の使用有無などをもとに環境負荷を5段階で評価

市場ではアメリカのFooducateやドイツのToxFoxなど似たようなアプリは他にも出てきているが、環境面の評価はまだ未発展であり、Yukaは両方を兼ね備えている点で進んでいます。

さて、Yukaのアプリが消費者行動に影響を与えているという話に戻理ますが、実際にYukaが約23万人の顧客を対象に行ったアンケートでその傾向は如実に現れました。Yukaアプリユーザーのうち、実に94%が特定の商品を買うのをやめた経験があるといいます。その影響は消費者だけにとどまらず、食品業界や化粧品業界の企業にも大きな影響を与えていて、ユニリーバやネスレがアプリの基準を考慮して製品を開発すると発表していたり、仏大手スーパーマーケットIntermarchéも、Yukaのスコアを改善するためにプライベート商品に含まれる142の添加物を排除して900の商品のレシピを再編成すると発表しました。

同じカテゴリーの商品が比較されており、善悪が4段階で明確に評価されている / photo credit: Yuka

しかしながら、一部の専門家や業界団体からの批判も多く、一部は裁判にも発展しています。例えば、加工肉食品の保存と色を保つための酸化防止剤としてフランスでよく使用される「亜硝酸塩」について、WHOは2015年に発がん性を認めている一方で、フランスでは危険な添加物とは認められていません。そのためFICT(フランスシャルキュトリ・ ケータリング・食肉加工工業連盟)は、「亜硝酸塩」などの食品添加物に対してYukaアプリが不適切な情報発信や呼びかけをしているとして訴え、今年5月にパリ商業裁判所はFICTの主張を認め、Yukaに賠償を命じました。これだけには終わらず、他の仏メーカー2社も今年6月の時点で100万ユーロの損害賠償を請求するなど、Yukaは大変厳しい局面に直面しています。

確かに、Yukaの採用する基準とユーザーの住む国の基準が異なっていたり、変更に時間差が出てきてしまうことで、こういった問題が発生してしまう可能性は拭えません。ただ、一方でYukaは、情報提供機関としての独立を保ち信頼を得るために、スコア評価や代替商品の推奨に影響を与えないよう、メーカーや業界団体からの資金提供や広告を受けず、有料会員サービスと栄養にまつわる10週間のオンラインプログラムでの売上から収益を得ることを徹底している。どの情報を信じるかは自分で判断することが常となっている情報過多の現代において、たとえ一部の業界団体からYukaに対する批判があるとしても、Yukaという中立的第三者による分かり易い情報提供が日々の消費行動の選択をより健康的に、環境に配慮したものに手助けしてくれるという大変嬉しいツールであることは間違いありません。

一消費者として、Yukaのようなソリューションが今後も発展し、いち早く日本でも浸透していってほしいと思います。そして数々の企業において、健康面や環境面への配慮をさらに高める取組みが進んでいくことを願います。

Yukaを支えるチームメンバー達 / photo credit: Yuka

以下、EISの考察です。

  • 行政やマスメディア、大手メーカー・小売の情報を鵜吞みに出来なくなってきている消費者トレンドを反映している
  • ICT技術の進展により、ユーザーが参画する形で、商品やサービスの評価が容易にできる仕組みが今後増えると考えられる
  • 現在は健康と環境だが、消費者の需要や価値観の多様化に伴い、様々な軸での評価プラットフォームが出てくることが考えられる
  • こういったプラットフォームにより、消費者が国境を越えて、高い評価を受けている商材を見つけ買い求める等のグローバル化を牽引する可能性がある

参考文献

  1. Financial Times
  2. Yuka
  3. BoursoraMag

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