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テスラの車載バッテリーが災害時の貴重な電力源となる未来

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今年の2月、テキサスは空前の大寒波に襲われました。温暖な気候に慣れた住民たちは、暖房の温度を上げ電力消費が急増しました。そんな中で同月15日には、同市の主要な電力源である火力発電所が氷点下の気温で停止するなどのトラブルも起こり、400万人以上の人々が寒波の中での停電を強いられたのです。多くの人が寒波の中、屋内でガスストーブを焚きすぎて一酸化炭素中毒で亡くなる等の惨事が続出しました。

また、テキサスではほぼ完全に電力市場が自由化しており、多くの人が自由化競争の恩恵にあずかろうと固定料金から卸売価格連動型の電力プランに移行していたと言われています。そうした人々は大寒波の影響による電力需要の急増と、その中で起こった電力供給の停止により電力卸価格が急騰し、1日に1000ドルもの高額を請求される人も多かったと伝えられています。テキサス州の電気信頼性評議会(ERCOT)のデータによると、その価格はメガワット時あたり約50ドル(5300円)から上限の9000ドル(約95万円)にまで上昇したというのです。

Bloombergの寄稿記事では、EVメーカーであるテスラがこうした災害から人々を救う未来を指摘しています。それは最近日本でも耳にするようになった、V2G(Vehicle-to-Grid)、すなわち車両からグリッド(電力網)への電源供給の可能性なのです。大衆向けモデルであるテスラモデル3や日産リーフといったEVは、60キロワットアワー(KWH)の充電池を積んでいます。これは一般家庭で使う電力量の数日分に相当します。    

テキサスには約2600万台の車両がありますが、2030年までにその10%がEVになると予想されています。そのうちの1/4がV2Gチャージャーを家庭に備え、その半数が同チャージャーに繋がれていたとする極めて現実的な仮定ですが、それだけで2.3ギガワットアワーの電源になります。これは今日、テキサス州が公表する予備電源の総数と同程度となります。さらにEV化が進むと州内の自動車の半数がEVとなり、その半数がV2Gチャージャーに繋がると総電力量は23ギガワットアワーとなります。これは寒波に見舞われたテキサスで、ピーク時に消費した電力量の1/3に匹敵します。

目次

以下、EISの考察です。

  • 多くの先進各国が2030年または2040年からの新車の完全EV化を宣言する中で、V2Gを含めて店舗や家庭の個別発電やEVの車載バッテリーも活用した電力取引は現実的なものとなる
  • 上記の計算のとおり、各バッテリーに車両数を掛け合わせると無視できない電力量となる
  • 個人も含めた電力取引市場は、既存の電力事業者やテスラ等のEVメーカーのみならず、GAFA等のプラットフォーマーも巻き込んだ大競争の核となる
  • V2G市場はフランスの原子力発電の他、大型再エネ発電施設も発達して電力網が安定している欧州では立ち上がり難いが、天災が多く電力網が孤立することも多い米国や日本では急速に立ち上がる可能性がある

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