北米では、5月はAAPI (Asian American and Pacific Islander) Heritage Monthとして、アメリカ合衆国におけるアジア系アメリカ人及び太平洋諸島系アメリカ人の北米への貢献と影響を認める月として設定されています。
5月がAAPIヘリテージ月間として選ばれた理由としては、1843年5月7日にジョン万次郎が日本からの初めての移民としてマサチューセッツ州に到着したことや、中国系労働者が過酷な労働に従事して1869年5月10日に完成したセントラル・パシフィック鉄道(カリフォルニア州からユタ州まで)の記念日があるためと言われています。
現在、アジア系アメリカ人の人口は急成長していて、2055年にはヒスパニック系アメリカ人を抜く北米最大の人種集団となり、2060年には現在の4倍の4800万人に到達すると予想されています。
さらなる多様性を目指し、ダイバーシティとインクルーシビティに重点を置く企業は、5月の1ヶ月間に様々な観点からAAPIヘリテージを讃える独自のキャンペーンに取り組んでいました。その中でも我々が注目するキャンペーンを紹介します。
P&G
AAPIの人々の名前を学び、尊重することの重要性についての意識を高めることを目的としたキャンペーンの一環として、短編動画「The Name」をリリース。当社の調査では回答者の83%が自分の名前が重要であり、自分のルーツやアイデンティティ、自己意識、または親や家族とのつながりに意味があると感じていることが明らかになった。
McDonald’s
世界最大のデジタルコミックプラットフォームであるWEBTOONとのコラボで、「Drawing on Heritage」という家族の絆、青春、そしてアジア系アメリカ人として成長することの意味を祝福する漫画シリーズを公開。
Disneyland
5月は音楽・芸術・食などを通じてアジア文化を祝う取り組みを実施。ディズニーカリフォルニアアドベンチャーパークでは期間限定で、中国系カナダ人の女の子が初めて主人公になったPixar最新作「私ときどきレッサーパンダ」のフォトブースが設けられ、ディズニーランドパークのメインストリートのウィンドウディスプレイでは、子供の日を祝して鯉のぼりと兜、けん玉なども展示された。
Nordstrom
全米でも有数の大型百貨店チェーンであるNordstromは、アジア人オーナーのブランドをホームページとSNSで特集。アジア系アメリカ人の市民権を保護し促進することを目的とした団体であるAALDEF(Asian American Legal Defense and Education Fund)に対して寄付をし、オンライン購入の際に買い物客自身も同団体に$1〜5の寄付ができるように、チェックアウトフローに寄付ボタンを組み込んだ。
Xbox
世界ゲーム市場における30億人以上のユーザーの半数はアジア在住で、AAPIコミュニティはゲーム業界に大きなインパクトを与えている。そんな背景も後押しし、Xboxではゲームやライブストリーミング上で、AAPI関連団体への寄付、AAPIの開発者、コンテンツクリエーター、プレーヤーを紹介、AAPI関連ゲームの特集などに積極的に取り組んでいる。
また、EISのグループ企業で、日本特有の天然素材とCBDを組み合わせた高品質スキンケア商材の開発、製造、販売に取り組むShikohinは、AAPI注目企業として以下のようなメディアに取り上げられました。
以下、EISの考察です
- アジア系アメリカ人の人口が急成長すると共に、2019年時点は9860億ドルだった購買力も2022年は1.2兆ドルに成長し、2024年には1.6兆ドルに増大すると予想されている。平均年齢は35歳と若く、年間支出額は全米平均と比べてかなり高い(住宅は+24%、食材は+29%、教育は+128%、アパレルは+67%、新車は+37% – 統計参照)
- 加えて、アジア系アメリカ人の多くは最新テクノロジーへの感度が高く、トレンドの最先端にいることが多い。その結果、Eコマース、IT、エンターテイメント、ゲーム業界などにおける消費者ターゲットであると同時に、トレンドセッターやインフルエンサー、また組織における貴重な人材として注目されている
- その様な状況下、私達日系企業にとっては、AAPI市場の拡大と共に北米における事業成長を実現する絶好の機会である
- そのためには、中国系、インド系、フィリピン系、ベトナム系、韓国系など、他のアジア系アメリカ人への理解を深め、積極的に交流し、AAPIコミュニティの一員となり貢献することが大切である