COVID-19用ワクチンが貨物航空業界最大のチャレンジをもたらすと話題になっています。
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ワクチン輸送に必要な条件とチャレンジ
ファイザーは、2020年内に5,000万回分、2021年には13億回分のワクチンを製造し、モデルナは、2020年内に2,000万回分、2021年に5~10億回分のワクチンを製造する予定です。それらの輸送のために必要な航空キャパシティを、IATA(国際航空運送協会)は、ボーイング747ジェット機で8,000回分に上ると推測しています。
ご存知のとおり、多くのワクチンが非常に低温(マイナス70度~)での管理・輸送を必要とすることから、このままだと25%ものワクチンが輸送中に品質劣化により使えなくなるのではないかと危惧されているのです。
同記事で挙げられているチャレンジは以下の通りです。
- 配送状況の完全な見える化
製造者から物流業者、グランドハンドリング、航空キャリア、輸入・通関、ラストマイル配送、取扱い医療従事者に至るまで、一貫して、かつ、リアルタイムに、ワクチンが適温で管理されていることを見える化する必要があります - 完全なクラウド化による情報アクセス
上記のように、バリューチェーン上の様々な参画者が、いつでも、どこでも配送状況等の情報へのアクセスができるよう、徹底したクラウド化が求められます - プラットフォームの調和性・拡張性
世界各地の、多種多様な運送及び医療バリューチェーンが適切に稼働するためには、オープンで、柔軟かつ拡張性あり、信頼できるトラッキング・プラットフォームの確立が求められます
EISの考察
- 未曽有のコロナ禍の副産物として、国際貨物航空領域において、新たな業界スタンダードの確立と技術革新が起こる
- そうした取組みに適時に対応できるか否かによって、貨物航空業界においても、K-Shape化(勝者と弱者の格差)が進行する
- さらには、新たな業界スタンダードにより、キャリア又はフォワーダーが新たなサービスを生み出すきっかけとなる