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世界的な広がりを見せる縦読み漫画(ウェブトゥーン)の未来

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韓国を中心に発展し、最近は日本でもその存在感が増している縦読み漫画。ウェブトゥーン(Webtoon:ネットの”Web”と漫画の”Cartoon”を組み合わせた造語。)とも呼ばれる縦読み漫画の世界市場は、2021年時点で約37億ドル、そして2028年にはなんと約262億ドルに成長するとの試算(Proficient Market Insights, 2022)もあり、米国でもNAVER社のプラットフォームだけで1,250万人の月間アクティブユーザーを抱えるなど、世界的な広がりを見せています。実は、2020年にNetflixが独占配信し世界的ヒットを記録した韓国ドラマ「梨泰院クラス」も縦読み漫画を原作としており、映像化との相乗効果も期待されるところです。

Image Credit: DAUM WEBTOON
「梨泰院クラス」

 また、これまで韓国が牽引してきた印象の強い縦読み漫画ですが、米国のビッグテックや日本の大手出版社の参入も進んでいます。例えば、今年3月にはAmazonが日本で「Amazon Fliptoon」を開始し、米国を含む世界での展開の試金石となっています。そして、今年5月には圧倒的なブランド力を持つ「ジャンプ」を擁する集英社が、「ジャンプTOON」の立ち上げを発表しました。

 今回は、従来の見開き漫画との違いを内容・制作過程の両面から見た上で、これまで日本が米国をはじめとするグローバル市場で築いてきたManga文化を発展させるべく、この流れにどう対応すべきか考察していきます。

目次

スマホとの相性の良さ

縦読み漫画は、一言で表すと「スマホに最適化された形式の漫画」です。スクロールするだけの簡単な操作で、スキマ時間にサクサクと読めるというメリットがあります。また、日本の見開き漫画は右から左に読んでいく形式のため、米国を含む左から右に読む文化圏の読者にとっては読みづらいという課題がありました。スクロールするだけで読める縦読み漫画は、誰でも直感的に楽しむことができるため、これまで漫画に慣れ親しんでこなかったライト層にもリーチしやすいと考えられます。

 加えて、縦読み漫画は当初からWeb上での展開のみを想定していることから、フルカラーの作品が多く、アニメのように臨場感のあるストーリーを楽しむことができます。

Image Credit: jumptoon

分業体制による制作

従来の見開き漫画の作成では、1人の漫画家がストーリー作成、キャラクターデザイン、ネーム作成、作画等あらゆる工程を行うことが一般的でした。一方、縦読み漫画は、制作過程ごとに専業化が進んでいることから、分業しやすいのが特徴です。これは、複雑なコマ割やアナログでの作業を必要としないからこそ実現可能であると考えられます。そして、分業体制のメリットとして、短期間で作品を世に送り出すことができること、加えて一部の過程が得意な人の才能を活かすことができることが挙げられます。

 このようなコンテンツ制作における分業体制はハリウッドでも採用されており、米国のコンテンツ産業とも相性が良いと考えられます。

以下、EISの考察です

  • 漫画の主戦場が紙から電子となる流れは止まらない。電子版を前提に作成される縦読み漫画は、これまで漫画に慣れ親しんでこなかった読者層にもアプローチしやすい形式であり、今後も世界的な市場拡大が予想されている。
  • 日本の漫画は、大人でも楽しめるストーリーの面白さで世界を魅了してきた。その根幹はフォーマットが縦になっても変わらないはずなので、従来の見開き型に加えて、縦読み漫画への挑戦も積極的に行い、世界の市場を獲りにいくべき。最終的には映像化などメディアミックスまで繋げられるとベター。
  • 他方、縦読み漫画では、見開き2ページを使った迫力のある構図を取れないといったコマ割り上の制限がある。このような表現が映えるタイプの作品は、引き続き見開き型を追求することが望ましく、想定読者層や作品のタイプに応じた棲み分けを行うことが望ましい。

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