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Z世代とシャドーボード:ビジネスを変える新たな力

カリフォルニア州ロサンゼルス発のウェルネス企業、Moon Juiceが8月下旬に新商品「Mini Dew」を販売開始。新商品の品質やレビューは勿論ですが、本商品の開発に関わった人事制度に注目が集まっています。

Moon JuiceはアメリカのZ世代に人気のウェルネスブランドで、プロテインパウダーからスキンケア商品までをラインアップ。Instagramでも商品の写真のみならず、Z世代に受けるようなクスッと笑えるコンテンツも日々アップしており、Z世代向けの施策を多く打ち出している企業です。

Image Credit: Moon Juice (Instagram)
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Z世代アドバイザリーが続々誕生!?

では、Moon Juiceの新商品開発に関わった人事制度とは一体何なのでしょうか?それは2022年11月に結成された20人以上のZ世代アドバイザリーボードです。実際に、彼らは新商品の値段設定、人気スポーツドリンクのMountain Dew(マウンテンデュー)を捩った商品名「Mini Dew」のアイデア出しに貢献しました。Moon Juiceのチームは毎月Z世代アドバイザリーボードと会議を行い、彼らの心理や消費活動を生の声として情報収集しています。

このようなZ世代をアドバイザリーとして迎い入れる動きは他社でも見受けられます。

  • THE BODY SHOPでは30歳以下の社内社員と社外メンバーで構成される常設の“Youth Collective”諮問委員会を設置。
  • PR大手のEdelmanは昨年、「Z世代ラボ」を立ち上げ、100人の従業員と、CEOならぬ「ZEO」というポジションまでを準備。
  • シカゴを拠点とするPR会社Ascendは、定期的に2~5人のZ世代を諮問委員会メンバーとして迎えている。
  • 投資会社のAble Partnersは、投資先企業を支援・アドバイスするため、Z世代役員を集めた。
Image Credit: campaign

若者の声に耳を傾けたGUCCI vs 若者の声を聞かなかったPRADA

多くの大手企業の経営層は40,50代が中心であり、なかなか若手社員の意見は経営層に届かない構図。一方で、市場環境の変化に対応するためには若者の意見は必要不可欠。この重要性にいち早く気づいたのが、GUCCIでした。

GUCCIは2015年以降、若手世代で構成される「シャドーボード」を設置し、シニアチームと定期的に会議を実施。シャドーボードとは、日本語では「影の取締役会」とも呼ばれています。経営戦略に対して取締役会と協働するために選ばれた、社外・社内の若手メンバーで構成されたグループのことを指します。取締役会のメンバーは新たな視点が得られると同時に、若手メンバーは取締役会内部の動きを体験できるという両者のメリットがあり、数年前から注目されている企業文化です。

事実、GUCCIの売上高はシャドーボードを結成した後、2014年度が34.9億ユーロで2018年度は82.8億ユーロまでに成長。同じくレガシーファッションブランドのPRADAは同期間に35.5億ユーロから31.4億ユーロへ減少。

PRADAはこの売上減少の要因として、インフルエンサーの重要性に気づくのが遅かったと述べています。まさに、若者の声に早期から耳を傾けていれば防げた事態かもしれません。

Z世代に人気のHarry Stylesがテレビ出演した際、GUCCIのバッグを持っている様子

以下、EISの考察です

  • 多くの企業がZ世代への消費者調査に躍起になっているが、シャドーボードによってZ世代が経営層に近い存在になれば、経営層まで若者の声が届くスピードは圧倒的に早い。
  • 一方でシャドーボードは経営に関わる存在となるため、社会人経験が浅いZ世代の中からどのように優秀な人材を見つけ出すか、といった新たな課題が発生する。
  • 上記課題解決として、優秀な若者が集まるプラットフォームビジネスや、シャドーボードを形成するための人材コンサルも台頭することが予想される。すでに、Moon Jouiceは今回のZ世代アドバイザリーボードの結成にあたり、求職中の大学院生が集うプラットフォーム「Home From College」を活用。
  • 一度、若者の声に耳を傾ける企業文化が浸透したら、Z世代の次の世代であるアルファ世代が購買力を持つ時代になっても、その企業文化は活きるに違いない。

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