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サステイナブルな取り組みやエネルギー対策が実施された、最新のクリスマスマーケット

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昨年のクリスマスシーズンに、ヨーロッパ各地でクリスマスマーケットが開催されました。中でもフランスで1番古いクリスマスマーケットの歴史を持つとされるストラスブールでは、コロナの影響を受けて中止や厳しい規制があった過去2年と比較すると、昨年はコロナ禍前と近い状態で開催されました。今回はストラスブールに焦点を当て、最新のクリスマスマーケットの状況をご紹介します。

目次

ストラスブールにおけるクリスマスマーケットの概要と経済効果

image credit:  Curiosity saves travel

ストラスブールのクリスマスマーケットは1570年から始まり、今年も11月25日から12月24日の期間に市内約10ヶ所でクリスマスマーケットが開催されました。シーズンには毎年200万人以上が訪れ、その経済効果は5000万ユーロを超えると言われており、クリスマスマーケットはストラスブールにとって必要不可欠なイベントです。

加速するサステイナブルな取り組みの具体例

ヨーロッパの重要な文化であるクリスマスマーケットにおいても、サステイナブルな取り組みが取り入れられています。

具体的な例の一つとして、ホットドリンクカップのリサイクルシステムがあります。ヨーロッパのクリスマスマーケットではホットワインや各種のホットドリンクが、地域ごとのオリジナルデザインのカップに注がれて提供されます。ホットドリンクは購入時にカップの追加料金を支払いますが、販売店に戻すとカップ分の代金が返金されるシステムが取り入れられています。各国で同様のリサイクルシステムがある一方で、ストラスブールではさらにカップのリサイクルボックスが街中の至る所に設置されました。これにより、購入者が販売店に赴く手間無く簡単にカップをリサイクルできます。

回収システムによってリサイクルされる、プラスチックのホットカップ( EIS撮影)

他にも、ストラスブールで開催されたオフマルシェでは、地元の芸術作品やリサイクル家具の販売、サステイナビリティと創造性に焦点を当てたイベントが開催されました。イベントの例には、サステイナビリティについてのディスカッション、バルカン民族音楽などを含む国際的で伝統的な音楽を体験するイベントなどがあります。

クリスマスのイベントリスト / image source: Strasbourg.eu

また、昨年からストラスブールではクリスマスマーケットの出店者に対して、地元製品や食品に限った販売という規制を設けました。例えば、ストラスブール外が生産地域であるラクレットチーズやシャンパン、大量生産されたサンタクロースの帽子などの製品は規制を受け、販売を禁止されました。代わりに、ローカルのワインやチーズや料理、地元職人による作品が販売されたことにより、地域文化の継承や地域生産者の保護が奨励されています。

地元製品が並ぶシャレー(屋台)/ image credit: Curiosity saves travel

エネルギー危機の影響はクリスマスマーケットにも波及

ウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰は、クリスマスマーケットにも影響を及ぼしました。数年前からストラスブールのクリスマスマーケットは、従来の白熱電球から、最大90%少ない電力で稼働するLEDライトに切り替えています。しかし、照明予算は依然として数十万ユーロに達しており、ガスと電気価格が高騰する中、消費量の削減に取り組む必要がありました。そこで、2021年と比較して10%のエネルギー削減対策が行われました。

具体的には、クリスマスマーケットを装飾するイルミネーションが縮小され、伝統的なドリンクやフードを提供するシャレーは例年より薄暗い状態での販売となり、市営のイルミネーションは5分の1減らされた上に、例年より1時間早い消灯と1週間早いライトショーの終了が実施されました。また、クリスマスマーケットで毎年行われていた季節のアイスリンクの設置も中止になりました。最も人々に影響を与えたのは、屋外ヒーターが禁止されたことです。これには、シャレー(屋台)でフードや小物を売るベンダーの間では特に不満を訴える声が多く上がりました。

薄暗いシャレー(屋台)でフードやドリンクを提供するベンダー/ image credit: The New York Times

コロナ禍対策の変化

新型コロナウイルスの感染状況を受けて、2020年はクリスマスマーケットが中止、2021年は店舗の20時閉店や食事提供エリアでのルールが強化され、守らない販売者には135ユーロの罰金が課されるなど、厳しい対策がありました。一方で2022年は、2021年の感染状況とほぼ大差がなかったにも関わらず(Googleの統計によると、2022年12月のフランスでは一日に約5万人の新規感染者数を記録)、以前のような厳しいコロナ対策はなく、マスク着用等もない中で多くの人々がクリスマスマーケットを訪れました。このようにフランスでは、コロナ前のように経済活動が動かそうとしている気運が感じられました。

多くの人が集まるクリスマスマーケットの様子(EIS撮影)

世界中に広がる、オンラインクリスマスマーケット

一方で、コロナを受けて新たなクリスマスマーケットの形態も誕生しました。コロナの感染拡大が懸念される中、クリスマスマーケットの新しい在り方として、世界各国ではオンラインによるクリスマスマーケットが複数開催されました。アムステルダム、香港、ドイツなどあらゆる地域で、無料のものから有料のものまで開催され、ウェブサイトから簡単に参加することができます。日本からも中継で世界のクリスマスマーケットを楽しむことができます。実際に、子供向け体験コンテンツを提供するWeeekEnd!はドイツのクリスマスマーケットを生中継で体験できるサービスを提供しています。参加者は自宅からPCやスマホを使用して気軽に参加でき、中継者に質問したり参加者と交流して、本場のクリスマスマーケットをオンラインで体感できます。このように、オンラインのクリスマスマーケットはコロナ感染対策になりうるだけでなく、国際的に伝統や文化を伝える機会になります。

オンラインでクリスマスマーケットを楽しむ子供達の様子 / image credit: WeeekEnd!

サステイナブルな取り組みやエネルギー対策が実施されて伝統的なクリスマスマーケットの在り方は社会情勢に対応して変化しつつありますが、去年のクリスマスマーケットも沢山の人で賑わいました。しかし、フランスのコロナ感染者数は依然として高いことや、収束の目処が立たないウクライナ戦争を考慮すると、現在のクリスマスマーケットで十分な措置が取られているか定かではありません。経済的に大きな影響力を持ち、伝統や文化としても重要なクリスマスマーケットを今後も継続していくためには、更なる変化が必要であるように思います。

例えば、経済効果を加味するとオフラインの開催は必要であると思われるので、並行してもっと多くの地域がオンラインのクリスマスマーケットを開催すれば人混みの緩和やエネルギーの縮小に繋がるように思います。加えて、生中継で映像に写された製品をその場で購入してデリバリーされる仕組みや、オンラインで現地の人々との交流機会を設ければ、よりリアルに近い状態で参加者がクリスマスマーケットを体験できると思われます。世界中の人が同時にオンラインで参加できるメタバースのオンラインクリスマスマーケットなどの開催などの選択肢も考えられます。他にも、クリスマスフードのデリバリーサービスや、ホームメイドのホットワインやレシピをホームページに掲載するなどの対応も、文化の継承とパンデミックの共存という問題の解決策の一つになりうるかもしれません。クリスマスマーケットを始めとする伝統行事や歴史ある文化を継続させるためにも、新たな解決策を考え続ける必要があるのではないでしょうか。

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