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海が次世代の住処になる日は近いのか?

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地球表面の70%を占める海洋は、未だほとんど未開拓のままです。しかし、近年の技術革新の波は、私たちの海に対する考え方や接し方に変化をもたらしています。実際、2050年には、現在陸上で生活している1億5,000万人以上の地域が海面上昇の危機に晒され浸水すると予想されています。ベトナムのように、2050年までに人口の25%が浸水する国もあるほどです。これは、必ずしもこれらの場所が完全に消滅することを意味するものではありませんが、迅速に適応し、イノベーションを起こさなければ、多くの人々が現在の居住地を失うことを意味しています。

2050年までにベトナムの大部分が満潮時に水没することを示している(右図)。昔の予想(左図)と比較すると、海面上昇の速度は増している/ image source: The New York Times

幸いなことに、私たちの海洋環境に対する理解度は日々高まっていますが、同時に、従来の常識へ挑戦をすることにもなります。かつて海は非常に未知で恐ろしい場所と考えられていたものが、今では多くの人にとって将来の住処となる可能性があると考えられているのです。海面や海上に人間が直接住むようになるのは、一体いつになるのでしょうか。

目次

気候変動問題に直面し進化し続ける、海洋テック企業

海洋イノベーションの必要性は、海面上昇、人口過密、自然災害の脅威など、さまざまな理由に起因しています。現在、世界中の人々の住まいは、これらすべてのリスクにさらされており、以前はまったく考えられなかった選択肢を模索する必要に迫られています。実際、日本は世界で最も海面上昇や自然災害の危険性が高い国のひとつと言われています。そのため、埋立地の開発は1950年代の東京を起源に進んだと言われています。干拓とは、海や川、湖などを埋め立てて新しい土地をつくることで、土やゴミなどを利用することが多くあります。この埋め立ては、過疎化対策として非常に有効ですが、その技術はやや古く、地震の影響を受けやすく、海面上昇の影響を大いに受ける可能性があります。

そこで、Oceanixのような新しい海洋プロジェクトは、既存の人口過剰の問題を解決すると同時に、海面上昇の影響を受けず、地震にも完全に耐えられるような環境を作り出せると注目されています。Oceanixは、「人々が海洋で持続的に生活するための浮遊都市を設計・建設する」会社で、現在、韓国・釜山沖で開発を進めており、その立地からもイノベーションが切望されている場所でもあります。

photo credit: Oceanix
photo credit: Oceanix

Oceanixの都市は、居住者が日常生活で必要なものをすべて入手できるようにすることを目的としており、この浮遊都市で完全にサステイナブルな生活を送ることができると言われています。もうひとつの革新的な企業はOcean Buildersで、同社はSeaPodsと呼ばれる居住空間を設計しています。このSeaPodsは、海に面した贅沢な暮らしを消費者に提供するだけでなく、魚群探知機として海の生態系を発展させる役割を担っているのです。つまり、水中に陰を作るものを配置すると自然と海洋生物が周りに集まり、Podの水面にはフジツボを始めとする様々な生物が生息するようになるのです。また、SeaPodsは完全に浮遊しているため、海面上昇や地震によるリスクはゼロと言われています。

photo credit: Ocean Builders

このような興味深い技術に加え、海に関する知識の全体的な進歩が、海洋生活へのシフトに大きな役割を果たしています。Alvinのような新しい装置によって、私たちはこれまで以上に深く潜り、海洋空間を探索することができるようにもなりました。

photo credit: CNN

ブルーエコノミーの推進が海洋テック革命を後押し

海洋テックに関するイノベーションは進みつつあっても、海洋生活へのシフトが現実的なものなのか、実際にそうなるのか、消費者からはまだ多くの懸念があることは避けられません。最近、政府機関の海洋への関心が高まっていることからも、この分野に関して調べてみる価値はあると言えるのではないでしょうか。歴史的に見ると、各国には常に国土計画に特化したチームや部署がありましたが、今では多くの国が海洋計画に特化したチームを立ち上げています。アメリカは海洋計画を陸上計画と同じくらい真剣に取り組んでいますし、中国、オーストラリア、フィリピン、ヨーロッパ諸国などでも同様の取り組みが行われています。これは海洋技術のあらゆる側面を含みますが、海洋生活の未来に関して、非常にポジティブな兆候と捉えられます。

さらに、前述した問題に加え、海洋は世界の多くの天然資源問題に対する答えとなるかもしれません。現在、多くの国が「ブルーエコノミー」を展開しています。ブルーエコノミーとは、魚、鉱物、石油・ガスなどの資源を採取するだけでなく、養殖、生物学的検査、海洋再生可能エネルギーなどの経済的な機会を求めて海洋に進出しているのです。したがって、これらの資源にできるだけ近いところで生活するための努力とイノベーションを集中させることは理にかなっています。

ブルーエコノミーの重要性はあらゆる業界で議論・協議されている image source: Energy Industry Review

技術、関心、実用性のすべてが合致していることから、国、企業、個人のすべてが今後海洋に投資する大きな流れが生まれると予想されます。これらの投資は、本記事の中で紹介したようなプロジェクトや構造物、海を守るための世界議会、あるいは研究プロジェクトなど、さまざまな形で行われますが、これらはすべて海を利用したり、海中や海上でできることの可能性を大きく向上させるものです。

以下、EISの考察です

  • 地球温暖化による海面上昇は、多くの海に面した国家、都市にとって対応を真剣に考えるべき時期に来ており、居住地域の他にも農業や電力供給などライフラインに関する技術革新が進んでいく可能性がある
  • 特に海上風力発電や潮力発電などの技術はこれまで作った電気をどのように地上に運ぶかという課題があったが、生活エリアが海上に移るとこれらの技術はより利用しやすくなり、普及の可能性が広がる

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