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ドイツのオクトーバーフェスト、コロナ禍で3年ぶりの開催!

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世界最大級のビールの祭典「オクトーバーフェスト」が、ドイツ・ミュンヘンで、3年ぶりに開催されました。9月中旬から10月上旬の期間で、約2週間にわたり開催されるこのイベントは、毎年国内外から630万人もの訪問者が集まります。また、その経済規模効果は、合計4億4800万€(約624億円)にものぼります。初めて開催されたのは1810年と、長い歴史を持ちます。当初は、農作物の収穫やビールの醸造を祝うイベントでしたが、長い年月を経て、ミュンヘンの食文化や民俗を体感する国民的祝祭にまで発展しました。今年は3年ぶりの開催ということで、コロナ禍のイベントの様子をお伝えします。

目次

1077日ぶりに開催されたオクトーバーフェスト

コロナウイルスの影響が依然として残る中、今年のオクトーバーフェストは、例年通りの規模で開催されました。初週で300万人ほどの来場者数となり、パンデミック以前の賑わいを取り戻しつつあります。クレメンス・バウムゲルトナー労働経済局長は、開催初週の賑わいを受けて、「再開は大成功である。コロナウイルスによる制限は受けていない。」と喜びをあらわにしました。

開催初日に行われた、パレードの様子 / photo credit: Oktoberfest.de

イベントの目玉であるドイツビールは、14の巨大なテント、20の小さなテントで提供されます。テントとは、いわば各ビール会社が特設したビアホールで、個性的な外観に目を惹かれます。最大のものはHofbrau(ホフブロイ)醸造所のテントで、その席数は10040席と東京ドーム約1個分の座席数が準備されているというから驚きです。今年は、3つのテントが新設され、テント内は美しい装飾と伝統的で活気のあるバイエルン音楽で賑わっていました。

テントの外観(EIS撮影)
テント内は多くの来訪者で賑わっていた(EIS撮影)

オクトーバーフェストは、伝統的な衣装のパレードや民族音楽のコンサートも開催されているため、お酒が飲めない人や小さな子供がいる家族連れでも楽しめます。様々なアトラクションも設置されています。

ウィレンボリ観覧車

久々に開催されたオクトーバーフェストに参加した、ローカルの人たちの声

初日の夜、テント内は、ビールを楽しむ人で溢れかえっていました!来訪者は、ドイツ国内だけでなく、周辺のヨーロッパ諸国からも多く訪れていて、国際色豊かなイベントでした。(20代男性)

今年のオクトーバーフェストは、3年のブランクを感じさせないほどの賑わいで、まるで”ビールのテーマパーク”のようでした。祭典の再開を待ち望んでいた人も多かったようで、彼らは、1000€(約139,000円)以上する民俗衣装を身にまとい、陽気にダンスを楽しんでいました!(20代男性)

揺れる世界情勢とビールの祭典 

オクトーバーフェストは、パンデミックにより、2020年と2021年の中止を余儀なくされました。当初は、日本同様、集会やイベントの開催は制限され、ロックダウンやマスクの義務化など厳しい措置も取られていました。また、これまでイベントに出店していた醸造所も、パンデミックにより、倒産に追い込まれる事態となりました。

しかし、2022年9月17日、ライター市長(ミュンヘン)は、ドイツ政府による行動制限撤廃の決断(同年3月18日)を受け、オクトーバーフェストの再開を宣言しました。その背景には、ワクチン接種や、死者数や重傷者数の減少だけでなく、コロナウイルスに対する認識の変化が挙げられます。ドイツを含むヨーロッパ地域では、コロナウイルスを通常の風邪と捉える人が多くいます。例えば、アルコール消毒やマスクを着用する人もごく少数で、メトロで咳こむ人がいても誰も気に留めないほどです。

今年のオクトーバーフェストでは、行動制限はありませんが、感染症対策の一環として、混雑予想を発表し、空いている時間帯の来場を推奨しています。

平日は10時~23時30分まで、土日祝日は午前9時~23時30分までと営業時間が長いが、平日の日中は比較的混雑していないと予想されている / image credit: Oktoberfest

また、ビールの祭典は現在の世界情勢にも影響を受けています。ビールの原料である大麦は、ウクライナ危機により穀物輸出量が激減し、単価は上昇傾向にあります。さらに、エネルギー供給のひっ迫も、ビールの製造コストを押し上げる要因として懸念されています。実際、今年のオクトーバーフェストでは、ビール価格が15%ほど上昇しました。今年の販売価格は、12.6〜13.8€(約1,751円〜1,918円)です。

オクトーバーフェストでのビール価格の動向:2019~2022で急速な値上がり / image credit: Oktoberfest

世界的なエネルギー不足は、ビール価格だけでなく、イベント運営にも影響します。例えば、今年のオクトーバーフェストでは、暖房の利用が制限されます。9月下旬のミュンヘンは、最高気温11〜15℃と非常に寒冷で、来訪客は寒さに苦しむかもしれません。そして我々が拠点を置くフランスでも、エネルギー価格高騰を受け、節電の取り組みが始まりました。パリ市は、エッフェル塔を含む観光スポットで、ライトアップの時間を短縮することを決めました。

コロナの影響で3年ぶりの開催となったオクトーバーフェストですが、すでに数百万人が来場し、以前と変わらずの盛り上がりをみせています。ただ、足元では、収束の兆しが見えないパンデミックや、ウクライナ危機、急速なインフレなど、世界を脅かすリスクは依然として存在します。こうした中で、オクトーバーフェストをはじめとする伝統的なイベントをいかに存続させるのか、様々な工夫が求められます。例えば、資金繰りにおける工夫です。地方行政や中央省庁に働きかけ、伝統行事の無形遺産としての登録を依頼すれば、公的な補助金を得ることができるでしょう。また、インターネット上でクラウドファンディングを実施し、世界中の人々に支援を呼びかけることも可能です。さらに、開催形式を変えることも有効な手立てといえます。近年、メタバースでファッションショーが開催されているように、仮想空間で伝統的なイベントを開く取り組みも面白いかもしれませんね。

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