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メタバースで深まる、オンラインハラスメントの闇

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テック業界で最もホットな話題の一つである「メタバース」。しかし、人々がメタバースでの新しいコミュニケーション方法を好むかどうかはまだ分かりません。Fortune誌によると、アメリカ人の大半はメタバースの主要な概念について初歩的な理解しか持っておらず、メタバースを実際に体験したことがあると答えたアメリカ人は4分の1以下です。Meta Platformsをはじめとする大手ハイテク企業がこのコンセプトに大きな賭けをし、新規ユーザーを引き込もうとする一方、メタバース空間内で嫌がらせ、いじめ、その他の不適切な行為が行われている報告もあります。

マイクロソフトは、年内にもバーチャルミーティングスペースを搭載する予定 / image credit: The VERGE

スクリーンネームやアバターによる匿名性が、一部のユーザーにとって最悪の事態を招く

MinecraftRobloxFortniteといったバーチャルワールドは友人たちと楽しく時間を過ごす場として人気ですが、このような場所に長時間いると、「荒らしに構わないでください」「混乱を引き起こそうとしている迷惑なユーザーを無視してください」といった注意喚起もよく耳にします。それは、スクリーンネームやアバターなどの匿名性がを高い環境で、現実では考えられないような行動をとってしまうユーザーがいるからです。さらに、オンラインの世界には社会的地位の格差がありません。そのため、人々はより自由に、よりオープンに、そして対面では避けるような話題についてもコミュニケーションをとることができるようになります。その一方で、少数のユーザーによって不道徳な行動が引き起こされる土壌があることも事実です。

メタバースにおける荒らし管理の限界

ゲームプラットフォームではこれまで、サーバー上のユーザーの不適切な行動を管理してきました。テキストチャットのフィルターやAIボットは、文字メッセージをうまく管理することができ、プレイヤーは荒らしユーザーからの連絡をブロックできます。またゲームプレイ自体はインスタンス*に限定されており、これは度々記録されているため、プレイヤーが他のユーザーの悪行を報告した場合、モデレーターが確認することができます。アバターはゲームに関連した動作をするように制限されているので、物理的な制約がある仮想空間では失礼なジェスチャーをするのは簡単ではありません。

しかし、メタバースの重要な信条は、オンラインゲームだけでなく、それ以上のものであるということです。問題は、その “ゲームの範ちゅうを越える “という概念が、行動を制限するための新たな課題を生み出していることです。例えば、メタバースはリアルタイムで常時稼働しているため、ユーザー間のやりとりのほとんどが記録されず、報告されてもモデレーターが確認することができません。メタバースでは、ユーザー間のコミュニケーションのほとんどがボイスチャットで行われるため、AIモデレーションツールは、真の「荒らし」行為を正確かつ迅速に特定するのに苦労しています。そのため、不快な思いをしたプレイヤーは、不便なツールを使ってレポートを提出しなければならず、レビューや対応に数週間かかることもあります。

MetaのHorizon Worldsでは、誰にも見られたり、話しかけられたりすることはできないように設定できる「Safe Zone」を提供し、ユーザーがポジティブな体験をできるようにUI改善に取り組んでいる / Image credit: Technology Review

さらに、メタバースの非ゲーム的なユースケースに重点を置くと、これらのプラットフォームでは、ユーザーにメタバース内の移動をよりリアルで自然に感じさせることが重要になってきます。つまり、物理エンジンがより限定的なゲームよりも、身振りや表現の方法がより多様になっているということです。しかし、これはコンテンツ管理者にとっては悪夢でしかありません。AIに有害な言葉やフレーズを教え込むことはできても、無礼で嫌がらせのようなジェスチャーを見つけるようにAIを訓練することは、はるかに困難であることが明らかになっているからです。

※インスタンスとは?:多人数参加型オンラインゲームでは、インスタンスは特別なエリア、通常はダンジョンで、そのエリアに入る各グループ、または一定数のプレイヤーに対して、その場所の新しいコピーを生成するもの。

より没入感のある体験 – 長所と短所

メタバースのもう一つの特徴は、FacebookのVRヘッドセットOculusなどを用いることで没入型の体験ができるという点です。これは、教育やエンターテイメントに素晴らしい機会を提供し、他者とのコミュニケーションをリアルで親密なものにすることができますが、ネガティブな体験もよりネガティブになるという弊害をもたらします。

Image source: Oculus

人気のバーチャルリアリティソーシャルであるVRChatでは、ユーザーはVRヘッドセットを装着し、さまざまなバーチャルワールドで一緒にゲームをしながら、他の人と交流することができます。例えば、共有のゲームロビーでゲームのロードを待つ間に、ユーザー同士が交流することが可能です。

例えば最近のNew York Timesには、人気のバーチャルリアリティソーシャルであるVRChat上で女性プレイヤーがロビーで他の男性ユーザーから声をかけられ、強制わいせつに値する行為をされたという記事が掲載されました。非営利団体「Center for Countering Digital Hate」によると、VRChatでは7分に1回の割合で暴力的な事件が発生しているとのことです。さらに最近のバーチャルリアリティでは、アバターが何かに触れたり触られたりすると連動して振動するスーツやグローブなどを着用して、デジタル世界での経験をよりリアルに感じることができるのですが、これもハラスメントなどの悪体験を増幅させるリスクをはらんでいます。

VRChat上でキャンプファイヤーを囲んでプレイヤー同士が交流している様子 / image credit: The New York Times



以下、EISの考察です

  • 荒らしや嫌がらせはユーザー側にモラルを強いるのは限界があるため、メタバースでのあらゆるハラスメント問題をプラットフォームや運営側で厳しく規制し改善しない限り、ユーザーベースの拡大は限定的になるだろう
  • メタバース内での法規制はまだ定まっていないため、メタバースをバーチャルミーティングやオフィスに活用検討中の企業は、メタバースにおけるアバターとしての従業員の行動に対するガイドラインをしっかりと制定し、現実世界の人事法をどのように適用するか精査する必要がある

参考文献

  1. The New York Times
  2. USA Today
  3. MIT Technology Review
  4. The Hustle
  5. Time
  6. Wall Street Journal
  7. Fast Company

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