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ドミノピザが仕掛けた、フードデリバリーアプリへの挑戦

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2020年3月、ロックダウン命令やソーシャルディスタンスの取り組みによって、当初、外食産業は最も大きな打撃を受けた産業の一つでした。アメリカでは生き残りをかけて、多くのレストランは一夜にしてデリバリーモデルへと経営をシフトし、UberEatsDoorDashGrubHubといったサードパーティーの大手デリバリーアプリを使うようになりました。消費者もパンデミック初期には外出を極端に控えていましたが、これらのデリバリーアプリと配達ドライバーのおかげで、デリバリーサービスを提供していなかったようなお気に入りのレストランからも、本格的な食事を非接触配達してもらうことができるようになりました。

フードデリバリーサービスの月次売上高推移 / image credit: Bloomberg Second Measure

2020年以前からサードパーティーのデリバリー市場は着実に成長していましたが、パンデミックが始まった最初の数カ月で業界全体の月間売上が2倍以上に跳ね上がりました。これにより、プラットフォームにも多くの新規ユーザーが流入し、アメリカ人は最初のロックダウンから1年半以上経った今も、食事デリバリーを注文する習慣を維持しています。

目次

多方面で起きるサードパーティーデリバリーアプリに対する反発

収益が爆発的に上がっていくにつれて、プラットフォームの料金体系に対する批判が注目されるようになりました。例えば、2020年12月に株式公開を開始したDoorDashは、2021年夏にドライバーのストライキが広まる事態に直面しました。ストライキはTikTokやRedditといったソーシャルメディア上で組織的に行われ、ドライバーたちは基本給の低さや配達を引き受けた際の潜在的な支払額の透明性の低さについて不満を漏らしました。ドライバーは配達のオファーが入った時に、配達先と距離を元に計算された基本給が知らされ、その時点で仕事を受けるか拒否するかが決められます。DoorDashでは低すぎる基本給が原因で次々とドライバーから配達拒否が起きる現象が起き、アルゴリズムによって徐々に引き上げられたサービス追加手数料が、シカゴ、クリーブランド、デンバーなどの主要都市で消費者に転嫁される結果となってしまいました。さらにこのシステムによって、アプリ利用者に冷めた食べ物が届けられることも頻発し、状況は悪化する一方でした。レストランがプラットフォームに対して支払う配送手数料が各販売額の33%にも上ることを考えると、このような事態は経営者側からは受け入れがたいことは想像が容易です。小規模なレストランは通常、とても低い利益率で運営されているため、多くのレストランはメニューの基本価格を上げる以外に選択肢はありませんでした。このような背景があり、アメリカ国民の外食費は過去1年半の間に全国的に大幅にアップしました。

Photo credit: The Verge

サードパーティデリバリーアプリへの反発を主導した、ドミノピザ

そんな中、米宅配ピザチェーンであるドミノピザは、DoorDashの利用者も「驚き」の追加手数料に素早く対応し、2021年8月に「サプライズ・フリー」というプロモーションを展開しました。ドミノピザは14件中1件の注文をタダにするという分かりやすいプロモーションで、総額51億円分に値するフリーミールを提供したのです。その後、ドミノは11月にもボストン、デンバーといった地域で中小企業を支援するプロモーションを行いました。それはなんと、レストランから2,600ドル分のギフトカードを購入し、近隣のドミノピザの配達注文にそのギフトカードを同梱するというものでした。これは、顧客がサードパーティーのアプリを介さずに地元のお気に入りレストランから直接デリバリー注文をすることを促し、さらにレストラン側にも多くの収益をもたらすような革新的な取り組みでした。

photo credit: Dominos

これからサードパーティデリバリーアプリ利用の流れは変わるのか?

ドミノピザは、前述で紹介したような自社の取り組みを強調する広告を通じて、サードパーティーのフードデリバリー・プラットフォームの経済性を消費者に積極的に啓蒙していますが、このモデルを打破しようと取り組んでいるのは同社だけではありません。以前、Game Changerでも紹介したレストランPOSプロバイダーと食事決済プロセッサーであるToastも、独自のToast Delivery Servicesプラットフォームを立ち上げ、レストランが既存の自社ホームページ経由で、他社の配達サービスを管理し、一律の配達料金を設定できるようにしました。

注目のサービスToast Takeout

消費者向けのテイクアウトおよびデリバリー注文アプリ「Toast Takeout」では、ToastのPOSを使って地元のあらゆるレストランに注文でき、主要なサードパーティアプリと同様のマーケットプレイスのユーザーインターフェイスを実現しています。このようなレストラン経営者にも消費者にもメリットのあるサービスの出現により、外食産業と消費者はパンデミック時に爆発的に普及したサードパーティーのデリバリーモデルを否定するようになるのでしょうか。今後の展開に目が離せません。

参考文献

  1. NPR
  2. Dominos
  3. CNN

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