検索エンジン市場はGoogleが長年支配的な地位を築いています。検索の際には個人情報が用いられ、パーソナライズされた検索結果と広告が表示されます。ただし、昨今の消費者の個人情報提供への忌避意識の高まりや、EUのGDPRやカリフォルニア州のCCPAといった規制を受け、個人情報を使わずに検索できるサービスが出てきています。
たとえば、米国のDuckDuckGoやフランスのQwantなどは、プライバシーを重視し、個人情報・閲覧履歴を全く利用しない検索エンジンです。その中で、ドイツのスタートアップXaynが、KDDI含めた日本の投資家から$12Mの出資を受けました。
Xaynは、スマートフォンアプリと検索エンジンを提供しています。氏名・年齢・性別といった個人情報は決して利用せず、アプリに搭載されたAIでページ閲覧履歴と興味を学習し、検索結果のパーソナライズ化を実現しています。
これにより、DuckDuckGoやQwantに比べて、Xaynは利用者が本当に欲しい情報にたどり着きやすくなります。DuckDuckGoやQwantは、個人に繋がる情報を全く利用しないため、検索結果の精度が向上せず、何度も検索して目的の情報にたどり着く時間がかかるからです。
Xaynは検索結果に広告を表示せず、消費者に対するサブスクリプションとB2Bのビジネスモデルを展開しています。KDDIは、自社のスマートフォンにXaynをプレインストールすることにより、個人情報にセンシティブな消費者へ遡及することを目指しています。
以下、EISの考察です。
- 個人情報保護の制限は、広告だけでなく検索エンジンにおいても適用される。個人情報を全く利用しないかわりに検索を何度も繰り返すコストがかかるサービスと、履歴情報を利用してパーソナライズ結果を得るサービス、興味まで収集してパーソナライズするサービス等、今後も個人情報保護と利便性のバランスを取った多くのソリューションが出てくる
- 消費者にとってはより選択肢が増え、個人の価値観と利便性のバランスに合致したサービスを利用していくことになる。良いサービスはソーシャルで拡散し、所属しているグループを中心に利用されていくようになる
- toCビジネスを展開する事業者は、従来型の広告では個人情報提供にセンシティブな消費者にどんどんリーチできなくなるため、SNSや自社サイトでの軽いアンケート収集等、総合的、多層的にアクションをとっていく必要がある
参考文献