長引くコロナ禍、過去最高収益を更新しているビッグテックですが、昨年末よりお互いを牽制・攻撃が激化しています。
目下、そのもっとも顕著なものは、Apple対Facebookのトップ同士の攻撃の応酬でしょう。
目次
Apple vs Facebook
個人情報の保護・消費者データの取り扱い、フェイクニュースや過激思想・コメントの放置への非難、プラットフォーマーによる政治家や著名人のコメントへの検閲、公正取引・独占禁止からの規制、課税逃れへの非難など、ビッグテックへの米国、EU及び欧州各国政府からの追求・圧力は高まっており、さながら中世ヨーロッパにおける国王と教皇の派遣争いのような様相を呈しつつあります。そうした追求・圧力への対応の中で、 ビッグテック企業は、お互いの土俵争いを繰り広げているのです。
AppleとFacebookの応酬は、Appleが昨年発表した「App Tracking Transparency」という新機能に端を発します。Appleがアプリ開発者に対して、パーソナライズド広告へのユーザーからの事前許可を義務付けるもので、広告事業が収益の大半を占めるFacebookには甚大な影響を及ぼす可能性があります。Facebookトップのザッカバーグ氏はこうした動きが、AppleがiOSという独占的な地位を使って、他社のビジネスの介入しようとしており公正取引の原則に反していると噛みついたのです。Appleトップのクック氏は、広告ベースのSNSが、現実社会の暴力や消費者の非人間化に対して責任を持つべきだと、欧米政府の代弁者のような強いコメントで攻撃の手を緩める気配はありません。
EISの考察
- 5年10年のスパンで見ると、このような駆け引き・応酬が企業の栄枯盛衰の分岐点となっている
- 日本企業の多くは、そうした戦いの始まりに気づかずに、または遅きに失して、ビッグテックや先進ICT・データ企業の後塵を拝してきた
- 日々、グローバル企業トップの発言・一挙手一投足を注視しつつ、素早く自らの戦略への示唆を見定め行動に移れることが求められる
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