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NFT NYC 2022から紐解く、NFTの現状と課題

今年で4回目の開催となったNFT NYCは、ニューヨークで毎年行われているNFT業界屈指のカンファレンスです。様々なプロジェクトリーダーやクリエイターはもちろん、あらゆる業界からもファンや関係者が集まり、NFT市場の現状を議論する絶好の機会とされています。NFT NYCは、家電見本市のCES、音楽フェスティバルのWoodstock、NFLの優勝決定戦であるSuper Bowlなど、世界中から参加者が集う主要イベントに匹敵するとも言われており、同カンファレンスから発信される情報にますます注目が集まっています。

目次

今更聞けない?NFTとは

NFTとは、Non-Fungible Token(代替不可能なトークン)の略で、ブロックチェーン上にデータが保存されたデジタル資産のことを指します。このデジタル資産は、アート、音楽、ゲーム内アイテムなど多岐に渡り、ビジネスシーンにおいても様々な活用が進んでいます。これまで、デジタル資産はコピーや複製が簡単にできてしまう点から、希少価値が生まれにくかったのです。それがNFTの技術によってトークンが偽造できなくなったことにより、所有権証明ができるようになり唯一無二の価値が生まれるようになりました。

NFTは誕生以来、大きな成長を遂げてきましたが、現在の市場の状況は少し厳しいものがあります。暗号通貨とともに、NFTは過去2ヶ月で大きく値を下げ、下落の勢いは止まりません。これは果たしてNFTと暗号通貨の未来そのものを示すのか、それとも世界全体の経済不況に付随したものなのか、NFT NYCに参加した人々は、楽観的にも悲観的にも答えを求めに来たと言えます。

NFT市場の現状

2021年から2022年初頭にかけてNFTの普及が進み、市場は永遠に右肩上がりになっていくかのように思われました。実際、2021年中に370億ドルだったNFTへの支出は、2022年の1月から5月の間だけで400億ドルに達しています。しかし、意外なことにこの5ヶ月間で市場は月間売上高は減少を続け、取引数は年初から毎月平均19.8%のペースで減少しているのです。これは、市場が1月にピークを迎え、投資家が投資対象に対して慎重になっていることを示しています。

取引に関わっていない外部の人にとって、これらは懸念材料に見てとれますが、多くのNFT業界関係者は、このピークとその後の損失が来ることを予見していました。NFT業界の先駆者であるGary Veeは今年の2月に「2021年初頭にNFTプロジェクトの99%は失敗するが、技術は繁栄し続ける」とさえ予言していたのです。今、私たちは実用性や実生活での価値が低いプロジェクトが墜落する一方で、業界をリードするプロジェクトが実生活やバーチャルで保有者に価値を提供し続けるという、対照的な展開に直面しているのです。

NFT NYC 2022は、NFTのこれからの動向が懸念される中で行われた、初めてのNFT特化型のカンファレンスとなりました。NFT LABitcoin WeekPermissionlessなど他のNFT関連イベントが行われた当初は、業界全体が非常にポジティブで信念に満ちていたため非常に楽観的な風潮に満ちていたものの、洞察に満ちたコンテンツは少なかったように思われます。しかし、NFT NYCでは、クリエイターはNFTの将来について悲観的で難しい会話をすることを余儀なくされ、成功だけでなく、業界の失敗についても興味深い議論を巻き起こしていました。

NFT NYC 2022で話題になったプロジェクト

NFT NYC 2022では、業界トップクラスのプロジェクトが、実際のプロモーションやイベント、パーティを通じて数多く展示されました。中でも、Bored Ape Yacht ClubVeeFriendsGoblinTownCool Catsなどの我々が注目するプロジェクトについて、今回はご紹介します。

Bored Ape Yacht Club

Bored Ape Yacht Clubは、数百人のセレブリティや著名人が参加する、最も人気のある話題のNFTプロジェクトの1つです。BAYCは、EminemFutureSnoop Doggなど、音楽界の大物たちが集う音楽とアートの祭典「ApeFest」の第2回を開催しました。ApeFestは、BAYCがいかに拡大と発展を続けているかを示すだけでなく、ヘッドライナーとして、Snoop DoggとEminemの2人が、「Bored Apes」についての新しいコラボレーション曲を発表し、そのルーツに忠実であることを示しました。

Image source: BAYC on Twitter

VeeFriends

VeeFriendsは、NFT業界で最も影響力のある人物の一人であるGary Veeが始めたプロジェクトです。NFTについて学び、一緒にトレードする場としてスタートしたこのコミュニティは、その後、より大きな進化を遂げました。NFT NYC 2022の期間中、VeeFriendsはカフェを借り受け、「VeeFriends Cafe」として、コミュニティメンバー同士が実際に会い、通常のDiscordの会話を超えた交流ができるようにしました。また、このカフェではグッズも販売され、VeeFriendsのカスタムアイテムが設置されました。

GoblinTown

2022年5月下旬とごく最近リリースされたプロジェクトGoblinTownでは、「McGoblin Burger」と題した非常に再現性のの高いハンバーガートラックをニューヨーク市内で展開しました。このフードトラックには、Goblinをテーマにした様々なソースやアイテム、商品が並んでおり、Goblinの衣装に身を包んだ従業員が勤務していました。

Cool Cats

Cool Catsは、2021年7月から同社のエコシステムCooltopia内で構築されてきた、猫をテーマにしたプロジェクトです。NFT NYC 2022でCool Catsは、IRL(現実世界)で初めてインタラクティブ性に富んだアクティビティで溢れた屋内テーマパークを発表しました。このテーマパークでは、ユーザーがオンラインで慣れ親しんだ世界観を体験する方法を提供しただけでなく、インターネット仲間同士が現実社会で繋がれる素晴らしい交流の機会となりました。

また、DoodlesSandboxといったプロジェクトも、その将来について重要な発表を行いました。Doodlesは、Doodles 2のリリース、ミュージシャンのPharrellの採用、Shopifyとの提携を予告しました。SandboxもTIME Magazineと独占的なパートナーシップを結び、バーチャルなTIME Squareを作ることを発表しました。このようなパートナーシップを通じて、NFT業界は時代の流れとともに企業化していくことが見て取れますが、プロジェクトがビジネス主体になる中で、本物のコミュニティを作り続けることがどれほど重要なカギを握るかが注目されます。

今後、コミュニティの信頼性を維持することの重要性は、決して軽視できません。ブランド取引や企業提携は、価値や収益を上げるには素晴らしいことですが、消費者はコミュニティの側面からWeb3やNFTに魅了されているため、最も緊密なコミュニティを展開するプロジェクトに目を向け続けるでしょう。Web3プロジェクトでは、古風なビジネス戦略に陥りがちですが、Bored Ape Yacht Clubのような企業は、急速な成長を維持しながらも、自社の価値に忠実であり続けることができる素晴らしい例と言えるのではないでしょうか。ApeFestは、BAYCのコミュニティーに大きな反響を呼んだだけでなく、BAYCのNFT保持者でもある有名ミュージシャン2人が、BAYCをテーマにした新曲とミュージックビデオを発表したことは、コミュニティの価値をより一層高める要素と確実になっています。

以下、EISの考察です

  • コミュニティの規模が大きくなればなるほど、メンバー1人ひとりの質の担保や貢献度・反応に対して停滞期を迎えるのはある程度避けられないかもしれない。しかし、すべての価値がコミュニティのメンバーからもたらされるNFTコミュニティを築く上では、特にコンセプトに賛同し集ったアーリーアダプター達の想いを蔑ろにしないような、コミュニティ第一主義を貫くことが大切である
  • そのためにも企業は、これらのコミュニティメンバーが実際に会う方法を提供し、TwitterやDiscordを超えたつながりをもたらす現実社会で、いかにコミュニティを巻き込んだコンテンツを展開できるかを思案する必要がある
  • NFTはもはや知る人ぞ知るといった珍しさは薄まり、様々なオーディエンスに理解される段階にきている。多くのプロジェクトが誕生しては消えていくという工程を目撃することになるが、新しいユースケースに触れる中で得られる学びや事業機会も無限大だ
  • 現状では、NFTプロジェクトの創設者が、イベントを開催したり、新しい役員を雇ったり、クリエイティブな思考をしたりと、従来の企業のように機能している。今後、コミュニティのメンバー達が主導権を持ってあらゆる価値を生み出して行き、コミュニティーが自立した時にこそ、真のNFTプロジェクトが成功したと言える

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