アメリカではハワイを除く全州で経済の全面再開が行われ、リモートワークからオフィス出社へと徐々に切り替える企業が増えています。コロナ禍で人付き合いがグッと減ってしまった影響もあり、ハグや握手への違和感、学校やオフィス、そしてパーティーといった社交場など以前の日常に戻ることへ不安を覚える人も少なくないようです。
そんな中、ストレス社会で戦う現代人へ向けた機能性ドリンク「Recess」がパンデミックからの社会復帰をサポートする、ユニークなマーケティングアプローチをしているのでご紹介します。
現代ストレス社会の解毒剤
Recessは2017年にニューヨークで始まった、機能性ドリンクを販売するウェルネス・ブランドです。CBDオイルとアダプトゲンを注入したスパークリングウォーターは、生産性やクリエイティビティを高め、心と身体のバランスを整えてくれるということで、発売から間もなくSNSでも話題になり大ヒットしました。
※1 アダプトゲンとは、トラウマ、不安、肉体的疲労などのストレスへの抵抗能力を高める働きのある天然のハーブの総称
Recessは日本語で「休憩」という名の通り、慌ただしいストレス社会でちょっと一息つきたい時に、コーヒーや紅茶の代わりに飲めるソフトドリンクです。心を落ち着かせクリアなマインドに導いてくれるRecessはヘンプとアダプトゲン入り、心を落ち着かせながらも高揚感が高まるRecess moodにはマグネシウムとアダプトゲンが有効成分として配合されています。
そんなRecessが、6月下旬にニューヨークで開かれたポップアップストアをきっかけに、オンライン購入者へはもちろん、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、シカゴといった都市部で同社が作成した「社会復帰ガイド」を配布し始めました。
「デートの相手がPfizerとModernaどちらのワクチンを打ったか探ってみよう。もし自分が接種したワクチンと同じだったら、結婚式の準備を始めて。そう、これが今の私たちのデートスタイル」といったように、ポストコロナのデートアドバイスが面白おかしく書かれています。
また、ニューヨーク・タイムズ紙のコラム「Modern Love」のイラストレーターであるBrian Reaや、ニューヨーカー誌の漫画家であるLianaFinckといった名だたるアーティスト達が、ポストコロナ社会におけるレストランでの過ごし方、パーティーでの立ち振る舞いから服の着こなしまで、カラフルなイラストと共にギャグとジョークで綴られています。
Recessの社会復帰ガイドに書かれているのは、写真の通り真面目な内容は一切なく、どれもクスッと笑えるほっこり系コンテンツばかりです。Recessのドリンクを片手にこの冊子を読んで、自然とポジティブな気持ちになれたのは、きっと私だけではないはずです。ロックダウンが1年以上も続き「1日でも早く元通りの生活に戻りたい!」という方も多いでしょう。それとは対照的に、いざ社会復帰が目前に迫ると「どうやって対面でコミュニケーションを取っていいか分からない」と不安になる消費者も多いのが現実です。
ポストコロナの世界では、様々なデジタルトランスフォーメーションが加速したからこそ、紙媒体で直接的に消費者の感情に寄りそうRecessが体現しているようなアプローチが、データ重視の戦略よりも効果的なのかもしれません。