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スターバックスのNFT参入が持つ2つの意味

5月3日、スターバックスが決算説明会で、2022年後半にNFT(Non-FungibleTokens)コレクションを発売しWeb3.0に参入することを発表しました。今回の発表ではプロジェクトの詳細はほとんど明かされませんでしたが、9月に予定されているインベスターデーの前後には具体的な発表があるものと思われます。今回のスターバックスのNFT参入は二つの意味において非常に注目すべきだと考えます。

目次

大きな既存コミュニティを持つ企業がどのようにNFTを活用するのか

これまでもディズニーやアディダス、GAPなど大手企業がNFTコレクションを発売した事例はありました。しかし今回のスターバックスの発表で注目すべきは、彼らがNFTを通じてデジタルサードプレイス=コミュニティを作ろうとしている点にあります。ディズニーが作品の代表的なシーンを切り取ったアートを販売したり、アディダスがNFTの保有者に現物の商品を提供するプレミアムアクセス権を付与したのとは一線を画すプロジェクトだと言えます。しかも、スターバックスはすでに世界に2,700万人ものStarbucks Rewards会員を抱えています。大きなコミュニティを持つ企業がNFTコミュニティを作る場合、既存のコミュニティとの棲み分け(差別化)や、彼らのプロジェクトを機に新たにNFTに関心を持ったファンをNFTにまつわる詐欺などのリスクからどう守るかなど、様々な課題が浮上することが予想されます。もしこれらの課題を乗り越えて新たな価値を提供することができたとしたら、これに追随する大手企業が続出する可能性があります。

相性が悪い環境×NFTの壁を乗り越えられるか

当初、CryptoPunksBored Ape Yacht Clubなどアート主導型のNFTが市場を切り開いて行きましたが、昨年後半あたりから「なんらかの目的を持ったコミュニティとその象徴としてのNFT」というプロジェクトが数多く立ち上がってきました。これらパーパスドリブンなNFTプロジェクトが活況を呈す中、代表的なパーパスの一つである環境問題の改善をコミュニティバリューに掲げたプロジェクトは限定的でした。これはNFTがブロックチェーン技術によって成立しており、大量の電力を消費するマイニングという作業を通じてそのやりとりが記録されることが影響しています。環境に良いことをしようというコミュニティが環境に負荷のかかるNFTの上に成り立っているのは本末転倒というわけです。しかしスターバックスは彼らのNFTコミュニティを「環境的に持続可能な」Web3.0プラットフォーム上に確立することを表明しました。環境先進企業でもあるスターバックスがこれまで相性が悪いと思われていた環境×NFTでどのような答えを出すのか、その内容次第では環境問題に関するNFTプロジェクトのブームが到来する可能性が考えられます。

以下、EISの考察です

  • これまでNFTはクリエイターやDAOなど個人中心に発展してきたが、最近欧米の先進企業が様々なトライアルを開始している。その中でもスターバックスの取り組みはコレクションや特典配布といったWeb2.0時代の延長線上に留まらないNFTを活用したコミュニティ創造という点で注目に値する。特に巨大なコミュニティを抱える同社がどのように既存のサービスと棲み分けを行うのかに注目したい
  • パーパスドリブンなNFTプロジェクトが増加している昨今にあって、環境活動に関連したNFTプロジェクトはブロックチェーンのマイニングにかかるエネルギー消費の問題からこれまで積極的に展開されてこなかった。スターバックスのように環境問題に積極的に取り組んでいる大企業がこの問題にどう向き合うのかは、今後のNFT×環境にとって大きな試金石となる

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