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時代を反映して進化し続ける、コーチェラ2022の魅力

Coachella(コーチェラ)は、毎年4月にカリフォルニア州パームスプリングス近郊の砂漠地帯コーチェラ・ヴァレーで開催される、野外音楽フェスティバルです。週末3日間に渡って2週連続で開催されるこの音楽フェスには毎年国内外から約25万人の来場者が集まり、1999年に設立されて以来、世界最高峰の音楽フェスティバルの一つとしてその地位を確立しています。通常9つのステージがあり、パンク・ロックからヒップホップまで、様々なタイプの音楽が演奏されます。音楽が中心のフェスではあるものの、毎年アートやファッションといったあらゆるトレンドがコーチェラで凝縮して見られることでも大変人気です。カリフォルニア出身の筆者にとっては春の定番イベントですが、今年はコロナの影響で2年ぶりの開催ということで、久しぶりにコーチェラを訪れて感じたことをまとめます。

photo credit: EIS撮影
会場の広さは、東京ドーム約25個分と砂漠エリアならではの広大さ
目次

人気すぎて会場に入れない!ハウスミュージックの台頭

最も顕著な音楽トレンドは、エレクトロニック・ダンス・ミュージックのサブジャンルであるハウス・ミュージックの台頭です。以前はコーチェラではそれほど多くの観客を集めるジャンルではなかったものの、近年の爆発的な人気によってハウス・ミュージックのメインステージのうち2つは規模が拡大され、3つ目の会場はすぐに満員になりました。韓国のPeggy GouやドイツのPurple Disco Machineといった有名なハウスミュージックアーティストの会場に入るためには、1時間待ちといった人気ぶりでした。

音楽に国境はない!グローバルな出演者たち

もうひとつ注目すべき音楽トレンドは、海外のアーティストやグループが多く参加したことです。コーチェラはもともとグローバルなフェスティバルですが、2022年の開催ではこれまで以上に海外のアーティストが多く出演しました。コーチェラ史上最多となる20組以上のラテン系アーティストをはじめ、ヨーロッパやアジアからも数え切れないほどのパフォーマーが出演し、コーチェラのグローバル化がより一層進みました。L’imperatrice(フランス)、Stromae(ベルギー)、Karol G(コロンビア)、MEUTE(ドイツ)のパフォーマンスは、コアなファンや新しいリスナーを魅了し、フェスティバル全体のベストパフォーマンスのひとつに挙げられるほどです。また、K-POP、日本のシティポップ、メキシコのマリアッチなど、国際的なジャンルのアーティストも数多く登場し、これまで異ジャンルの音楽に触れたことがなかったような新しいオーディエンスを魅了しました。日本からも宇多田ヒカルが、88ライジングのステージで自身初となるフェス参戦を果たしました。

女性のエンパワーメントを象徴する人気女性ラッパー

コーチェラで最後に重要な音楽的トレンドは、女性ラッパーの存在です。歴史的にラップは非常に男性優位のジャンルでしたが、Doja CatMegan Thee StallionCity Girlsといった複数の女性ラップアーティストがゴールデンタイムを席巻したことからも、歴史は確実に変わり始めていることが分かります。かつてラップは過激なスラングや女性差別的な歌詞に満ちた男性主体の業界でしたが、女性の自立を反映した歌詞や力強いパフォーマンスを繰り広げる女性ラッパーは、女性のエンパワーメントの象徴としてこれまで以上に人気を博しています。

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NFTを通じて生まれる特別な体験

また、コーチェラは様々な業界のパイオニアであることが多く、今年はチケットにリンクしたNFTが参加者全員に無料で配布されました。このBloom NFTという仕掛けは、 フェスティバル開催までに「種」が描かれたコーチェラ公式NFTを手に入れておくと、開催日初日に特典がもらえるというものでした。無料のVIPチケット、将来のコーチェラへのチケット、無料グッズなど、その特典は「花」を咲かせて明らかになる7つのアートデザインによってそれぞれ違います。宝くじの当選発表のようなワクワク感はもちろん、NFTを事前に交換した来場者だけが体験できる特別なエクスペリエンスを「種から開花した砂漠の花」をテーマにしたアートを通じてもたらしました。

photo credit: Coachella Bloom NFT

インタラクティブな体験型アートがSNSで大人気

前述の通り、コーチェラはアートでも有名です。毎年、コーチェラではフェスティバルのあちこちにさまざまなアート作品が展示されますが、今年はインタラクティブな体験が人気を呼びました。そのインタラクティブ体験のひとつは、参加者が「360度のオーディオ/ビジュアル体験」ができる「HP Antarctic Dome」です。 ドームの中に入った人は、厳重に空調されたテントの中で横になり、強烈な視覚と聴覚の没入型アニメーションを体験することができました。

インタラクティブ・アートのもう一つの例は、「SPECTRA」です。SPECTRAは、フィールドの真ん中を上昇するカラフルなタワーで、ユーザーはタワーの中の場所によって異なる色のレンズを通して、フェスティバル全体を360度見渡すことができるというものです。このアートピースはソーシャルメディアでも紹介され、来場者にフェスティバルを違った角度から見てもらうという楽しみを生み出しました。

photo credit: EIS撮影

コロナの影響でフェスティバルが開催されなかった2年間のうちに、イベントの魅力や人気が低迷するのではないかと懸念してた参加者や関係者もたくさんいました。その心配をよそに、インタラクティブな体験と多彩な音楽ラインアップの組み合わせによって、今年のコーチェラも大盛況に終わりました。フェスティバルが終わって数日しか経ってないのにも関わらず、既に2023年に誰が出演するのかあらゆる憶測が飛び交っており、その人気が衰えることはなさそうです。時代を反映して進化し続けるコーチェラから、今後も目が離せません。 

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