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「ドライブ・マイ・カー」 〜映画が表現するダイバーシティとインクルージョンのあり方

今年3月27日にハリウッドで行われた第94回アカデミー賞で、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は作品賞、脚色賞、監督賞、国際長編映画賞の計4部門にノミネートされ、映画「おくりびと」以来13年ぶりとなる国際長編映画賞を受賞しました。

国際長編映画賞を受賞した、濱口竜介監督
photo credit: Academy of Motion Picture Arts and Sciences

原作は村上春樹氏の短編小説で、妻を亡くし喪失感を抱える舞台俳優の演出家が、演劇祭のため訪れた広島で専属運転手になった女性と出会い、チェーホフの劇を作っていく中で自身の悲しみを見つめ直す姿を描く映画です。

3時間にもおよぶ、特にドラマチックな展開がなく手話を含む多言語で展開するこの作品が世界各国の映画関係者や視聴者に評価されたことは感動的です。この映画が追求する「人生における喪失感と生きる目的への探求」は、今の世界中の人々に共通することなのかもしれません。

第74回カンヌ国際映画祭で原作は脚本賞、国際映画批評家連盟賞、AFCAE賞、エキュメニカル審査員賞の4冠を達成

ドライブ・マイ・カーの予告動画はこちらからご覧ください

また、この度のアカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3冠受賞に輝いた「CODA (邦題:コーダ あいのうた)」も、障害者と健常者間での共生社会をリアルに深く、美しく描いている、夢と希望がある感動作です。Apple TV+のストリーミングサービス作品として、初めてのアカデミー作品賞の受賞作品となりました。

CODA (Children of Deaf Adults)は、耳の聴こえない両親に育てられた子どもの意味を持ち、音楽用語としては、楽曲や楽章の締めを表す、新たな章の始まりの意味も併せ持つ

CODAのキャストと監督・脚本を務めたシアン・ヘダー
photo credit: Academy of Motion Picture Arts and Sciences
CODAの予告動画はこちらからご覧ください
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以下、EISの考察です

  • 大前提として、「ドライブ・マイ・カー」と「CODA」は共に映像が美しく、内容的に素晴らしい映画であるが、両作品共に「通訳」を重要な役割としていることに注目する
  • アカデミー賞後のインタビューで、濱口監督は繰り返し通訳の方々への感謝を述べ、「CODA」で助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァー氏は受賞スピーチで「シアン・ヘダー監督は最高にスキルの高いコミュニケーター。障害者とそうでない人との橋渡し役を務め、この橋はいつまでもハリウッドに残る橋となるでしょう」と述べている
  • グローバルで仕事や生活をしていく上で、この2つの映画が表現するダイバーシティとインクルージョンのあり方は、とても示唆深い

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