ウクライナ支援のための暗号通貨での調達額が60億円以上に達している中、分散型自律組織「ウクライナDAO」が主催したウクライナ国旗のNFTは販売後、24時間以内で8億円近い額の資金調達に成功しました。
現在、テキサス州オースティン市で開催されているSXSW2022でのパネル・セッションでは、ウクライナDAOの共同設立者でロシアのプロテスト・パンクロック・グループPussy Riotの元メンバーNadya Tolokonnikova(以下「トロコンニコワ」)氏が登壇。そのセッション中、トロコンニコワ氏は資金調達、および資金運用のガバナンスにおいてNFT(非代替性トークン)とDAO(分散型自立組織)の有効性を強調しました。
目次
トロコンニコワ氏が指摘するポイント
- 既存の寄付による支援やチャリティ活動の多くは、NGOやNPOなどの非営利組織により主催されていて、その多くは官僚主義的な組織の傾向が強く調達資金の運用方法もクリアではない
- DAOは官僚主義や権力の集中を排除し、資金運用方法の透明性を実現するだけではなく、資本主義や共産主義などよりも優れたガバナンスモデルを実現する
- 今回のウクライナDAOは、調達額の大きさ以上に世界中の人々の思想を示した資金調達活動以上の取り組みで、地域問題の解決手段としてのモデルケースとなる
以下、EISの考察です
- NFTとDAOはスピード、透明性、ローカル課題対応という観点から、新たな資金調達とガバナンスの手法となる
- 但し、DAOの仕組みを採用するには、今までの組織運営における考え方や組織論を根本から変える必要がある。特に理解する必要があるのは、「創始者を含めて特定の人にコントロールする権利が残らない」、「意思決定および過去の経緯は完全に可視化される」、「リーダーはDAO参加者によりいつでも代えられる可能性がある」など
- DAOが導く社会的かつ経済的価値や変化についてまだ不明な点は多いが、DAOの思想や仕組みを歓迎する人々は確実に増えている。そのためにも、所有権や創造性の概念の変化、また組織形成におけるパラダイムシフトへの理解を深めて、DAOを今後どのように取り入れていくかをしっかりと検討する必要がある