「オムニバースが導く働き方革命」について、さらに詳しく動画で解説しています(9:26)音声:日本語
Pokémon GOがリアルとバーチャル世界の融合の可能性を実証し、デジタルネイティブ世代はメタバース(2021年8月12日 インサイト#61 参照)上でのAR(拡張現実)ライフスタイルを取り入れ始めていますが、メタバースは今後、製造や物流現場での業務設計、改善、教育のシーンでも活用されることになります。
半導体メーカーのNVIDIAはCGIアニメーション制作会社のPIXARが提供するプログラミングのデータ形式(USDフォーマット)を活用して、それを実現するプラットフォーム「Omniverse:オムニバース」のβ版を2020年12月に発表して初期ユーザーに公開しています。
オムニバースの特徴
- Google Docが論文を、Slackがソフトウェア・プログラミングの共同制作の生産性向上に寄与したのと同様に、オムニバースは3Dコンテンツの共同制作に役立つ、コラボレーション及びシミュレーション・プラットフォームである
- 「製造されたものは全て可視化できる」、「動くものは全て自動化できる」、「自動化されるものは全てシミュレーションできる」という思想の下に設計されて開発されたプラットフォームである
- そのため、今まではAutodeskでのCAD設計、Adobe社Photoshopでの画像編集、Epic Games社Unreal Engineでの3Dコンテンツ制作など、個別に取り組んでいたデータは全てオムニバース上で共有され、作業内容や進捗がリアルタイムで関係者に共有される
- オムニバース上でのシミュレーションを通じて最適化された作業工程は、プログラミングされた人工知能(AI)により複数のロボットにインプットされトレーニングされる
- オムニバースは既存の各種アプリケーションと相互運用できるように、現時点30以上のソフトウェア会社と共に標準コネクターを開発して提供している
オムニバースはβ版を公開後、様々な業界における400以上の企業とパイロット・プロジェクトに取り組み、5万人以上がユーザとして登録しています。
自動車大手のBMWグループはアバターを使った未来の工場開発、移動体通信大手のエリクソン社は5Gアンテナ設置場所最適化、広告制作大手のWPP社は撮影現場への移動を伴わない広告制作などのプロジェクトに取り組んでいます。
「オムニバース」に関するEISの考察
- 今後、都市開発や各種大型設備の導入設計、作業現場のレイアウト/オペレーション設計、広告宣伝、ビジネスソリューションの説明など、様々なシーンにおいて、メタバースは活用されることになる
- 特にリモートワークや組織間コラボレーションが進む中、その必要性は更に高くなる
- そのために、仮想空間上でのストーリー策定、サイエンスと作業手順を考慮した企画・設計、クリエイティブ制作、人工知能のモデリング、プログラミング、データサイエンスなど、新しいスキルを会得する人材のニーズが増してくる
- このビジネストレンドを軽視すると、新規事業機会発掘、生産性向上、次世代人材獲得など様々な面において大きな機会損失となる
参考文献
- VentureBeat
- VentureBeat
- COMPUTEX TAIPEI
- Photo credit: Nvidia