WWW (World Wide Web)の考案者であるSir Tim Berners-Lee氏が2013年に創設したスタートアップ「Inrupt」が、昨年11月に個人データ保護を実現する分散IDプラットフォーム「Solid」の企業版をリリースしました。
Inruptは、ユーザーが自分の個人情報をそれぞれ個別に保存し、ユーザーが望むサービスにアクセスする際に必要な情報のみを共有するという理念を掲げています。
目次
Inruptが展開するSolidの特徴
- 大手インターネット企業による集中管理から、分散型での個人情報管理を実現するブラットフォーム
~現在、一部のインターネット大手企業が膨大な個人情報をビジネスに活用しているが、Solidの分散型IDプラットフォームは、ユーザーの意思で個人情報へのアクセスを制御することを実現 - 個人情報は各ユーザーのハードウェア上で管理されるPOD (Personal Online Data Store)内に格納
~パソコン、スマートフォン、IoTなどを通じて生成された個人データ(画像、コメント、連絡先、カレンダー、フィットネス、健康データなど)はPOD内に格納され、PODへのアクセスをユーザーがネットワーク上で制御することによりブライバシー保護を実現 - 英国の主要企業やベルギー・フランダース政府が実証実験を開始
~英国のBBC、NatWest Bank、国民保健サービス(NHS)に加えて、ベルギーのフランダース政府などの大手クライアントとの協業を通じて、自社サービスのテストを開始
EISの考察
- Inruptの取り組みは、インターネット上でのビジネスの仕組みを根底から覆すことほどのインパクトがある
- 企業はパーソナライズされたユーザーにアプローチをすることができなくなり、フリーミアムなどのビジネスモデルやユーザー獲得戦略の見直しを迫られ、対抗措置をとることになる
- また、その実現のためにはシステム連携やデータ管理方法などの面で様々な変更が発生し、莫大なシステム投資が必要となる
- しかし、Inruptが掲げる理念に賛同する組織やユーザーが増えることにより、大きな変革に繋がる動きは次第に加速していき、その過程で新たな事業機会が生まれることにもつながる